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  1. 東京都議会 1998-12-09
    1998-12-09 平成10年_第4回定例会(第17号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時四分開議 ◯議長(田中晃三君) これより本日の会議を開きます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) 昨日に引き続き質問を行います。  四十三番三原將嗣君。    〔四十三番三原將嗣君登壇〕 ◯四十三番(三原將嗣君) 最初に、東京の区部北東部に居住する都民が待望しております、常磐新線と日暮里・舎人線について伺います。  先般、知事が公表されました「生活都市東京の展開 改訂重点計画」におきましても、今後三年間に実施する重点事業に、常磐新線と日暮里・舎人線を明記しておられます。  常磐新線には、東京都も、無利子貸付と出資金をもって支援しております。そして、東京都は、常磐新線の工事に合わせて足立区の六町地区土地区画整理事業を実施することになり、今年の四月より本格的なスタートを切りました。  その中で、常磐新線の仮称六町駅の上部に当たる補助一四〇号線道路部分につきましては、用地の先行借り上げ方式をもって、駅舎部分の工事着手に協力することになっておりますが、現状はどうなっているか、都技監に伺います。  同時に、これらの作業を通して、六町駅の建設工事について準備が進んでいると思いますが、都市計画局はどう把握しているか、伺います。と申しますのは、同じ常磐新線仮称青井駅のいわゆる起工式が、地元の東京都も私ども議員も承知しないうちに実施され、私が平成八年九月の本会議において厳しく注意を促した経緯がありますので、いつ、いわゆる起工式を実施する予定かをお尋ねします。  一方、日暮里・舎人線は、昨年の十二月三日に起工式を行い、今年度も約四十億円の事業費をもって工事が順調に進んでいます。ただ、財政再建が都政の喫緊の課題になった今日、来年度予算の編成に当たって、公共事業の縮小は避けられないといわれています。  しかし、そうした厳しい財政状況の中でも、知事は日暮里・舎人線を重点事業に指定されましたので、十分な事業費を確保される決意だと理解しておりますが、見解を伺います。  あわせて、工事を担当する建設局の組織体制も拡充していただきたいと思いますが、都技監のご意見をお聞かせください。  次に、薬事行政についてお尋ねいたします。  都民のだれもが健康で楽しい生活を送りたいと願っていますが、一方で、高齢化社会が進み、医療費の高騰も問題となっております。  こうした社会情勢の中で、健康管理は自分で行い、自分の病気は自分で治すという考えで、市販薬を利用するセルフメディケーションの意識が高まっています。これには、身近なところで医薬品の相談をすることのできるかかりつけ薬局を持つということが大切であり、私どもが親しくしている町の薬屋さんは、薬局または薬店として管理薬剤師が常勤するか、薬種商の資格で営業し、これらの相談に乗ってくれております。  ところが、最近、資本力をもってドラッグストアとして展開している大型チェーン店に重大な問題があります。去る十月三十日に、東京都を初め関係地方自治体でこれらのチェーン店の立入検査をしたところ、一般販売業として薬剤師が不在であったところが、特別区では三割を超えたといわれています。
     地域の信頼を得ている薬局、薬店は、常に法律を守り、商店街の振興や社会奉仕活動などに大変協力してくれておりますが、チェーン店の進出で経営の危機にさらされているのも実情であります。この観点から見て、法律を遵守しないだけでなく、資金力に物をいわせて店舗展開を進めるチェーン店の経営姿勢は到底許せるわけではありません。  衛生局は、こうしたチェーン店の薬剤師の勤務状況を都民の前に明らかにし、厳しく指導及び処分をしていくべきですが、明確な答弁を求めます。  また、セルフメディケーションの考えで、かかりつけ薬局を持つことについての普及啓発をどのようにしていくつもりかお尋ねをして、次の質問に移ります。  東京の住宅事情は、バブル期に比べると改善されつつあるとはいえ、今年の東京都住宅白書によれば、まだまだ適正な負担で望ましい居住水準の住宅を確保することは容易でないとしています。特に都心部の人口減少への対応や木造住宅密集地域への対策、高齢者の居住環境の改善など、東京は、なお多くの住宅問題を抱えており、住宅政策の重要性は依然として高いと思います。  また、住宅投資の経済波及効果は極めて大きいといわれており、景気対策の観点からも住宅政策の一層の推進が望まれると思いますが、知事の所感を伺います。  こうした中で、東京都住宅供給公社は、昭和四十一年以来、東京都の住宅政策の実施機関として、中堅所得者層を対象として住宅や宅地を供給し、あわせてまちづくりを通して都民生活に貢献してきました。しかし、時代の変化とともに住宅業界も大きく変わり、公社の役割を大きく見直すべき時期に来ていると思います。今年十一月の東京都監理団体に対する経営評価でも、一層の努力を必要とすると判定されています。  こうした状況の中で、公社は、住宅局からの指導で公社経営健全化五カ年計画を立てましたが、その内容について局長に伺います。  第一に、この指導に当たって、公社の現状の経営にどのような認識を持っておられるのか、また、できた計画についてどう評価しておられるのかをお尋ねいたします。  第二に、この計画では、建てかえ事業を主軸にするとしていますが、老朽化と居住者の高齢化が進む中で、今までとどう違う事業展開を迅速かつ的確に実施するのか、伺います。  第三に、公社の組織体制を整備するとのことですが、契約業務やサービス業務の見直しを初め、十二の営業所、六つの出張所をどう整理し、職員、嘱託員合計九百五十四名をどう削減し、配置するのかをお尋ねいたします。  第四に、公社の真の経営安定化には、基本金一億五百万円を増額するとか、長期保有用地を都が買い取るとかの大英断が必要と思いますが、見解を伺います。  最後に、二十一世紀を迎えるに当たって、東京都の産業政策の重点に据えるべきビジター産業についてお尋ねいたします。  国立民族学博物館の石森教授は、日本は、二十一世紀には人口が減少するので、全体的に活力を失う、そこで、ビジター人口、つまり外国からの訪問者をいかにふやすかによって地域の活力が維持されるので、特に東京の都市経営に一番有効なのはビジター産業だと述べておられます。  確かに千客万来の東京となれば、売り上げの上昇、生産の増加、雇用の創出と東京の活性化に弾みがつき、ビジター産業が生み出す経済波及効果は、実に大きなものがあることは間違いありません。特にコンベンションの誘致は、学術、文化、情報等の発信源となり、国際都市東京のアピールにも最適な事業であります。  そこで、東京商工会議所の支援で設立した東京コンベンション・ビジターズビューローは、どういう活動をし、成果を上げているのかを伺います。  特に、世界ガス会議世界学術会議の誘致の見通しはついたのかどうかも伺います。  また、ビジター産業の振興には、それを支える会場施設はもちろんのこと、交通、通信、通訳、ボランティアの協力といった各種基盤の整備が重要ですが、それらへの対応は進んでいるのか、生活文化局長より具体的にお答えをください。  最後に、知事に伺います。  ただいま申し上げましたように、二十一世紀の都政の産業政策として、ビジター産業、つまりコンベンション事業等を大きな柱にしていくべきですが、その試金石として、来年の今ごろに予定されている二〇〇二年ワールドカップサッカー大会予選組み合わせ抽せん会、いわゆる予選ドローについて、東京への誘致にどういう努力をされたかを伺います。  この予選ドローには、二千人以上のサッカー関係者が集まり、テレビで世界に生中継される注目のイベントですが、知事は、どういう支援をして期待にこたえられるのかを、具体的な内容を示してお答えください。  重ねて青島知事に伺います。あなたは、私どもの意見を無視して世界都市博覧会を中止されました。しかし、皮肉にもコンベンション事業が東京を救う時代がやって来ました。この現実を知事はどう思われますか。  残された四カ月間、都市博中止の罪滅ぼしに、いや、引退の花道として誘致活動に全力を挙げられるべきだと思いますが、知事の胸中を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 三原將嗣議員のご質問にお答え申し上げます。  まず、日暮里・舎人線についてお尋ねがございました。  本路線は、区部北東部における利便性の向上と沿線のまちづくりに寄与することはもちろんでございますが、都民生活や都市生活を支えてまいります上で大変重要なことかと考えております。  そこで私は、地域の方々の熱い思いも受けとめまして、本路線の整備を、先般策定いたしました「生活都市東京の展開 改訂重点計画」における重点事業として組み込んでおりまして、今後とも、必要な事業費の確保に努力を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。  次に、住宅政策の推進についてご言及がございました。  ご指摘のとおり、東京の住宅事情は、今日もなお厳しいものがございます。また、住宅投資は、景気対策の観点からも重要な意義を持つものと認識をいたしております。  都としても、東京都住宅マスタープランに基づきまして、公共住宅の整備や民間住宅の供給誘導など、幅広い施策の展開に努めてきたところでございます。  今後とも、都心居住の推進、木造住宅密集地域の整備、少子高齢社会への対応など、都民に快適な住まいと空間を確保してさしあげるために、住宅政策として大いに推進していかなければならないと決意しているところでございます。  次に、二〇〇二年ワールドカップ大会予選組み合わせ抽せん会についてご言及がございました。  世界の二百近い国や地域から多くの参加者を得まして、来年十二月に開催される予定の予選組み合わせ抽せん会は、東京の魅力を改めて世界じゅうにPRするという意味でも絶好の機会かと思います。これからの東京の活性化にとりましても大変意義のあることと考えまして、私みずから、日本組織委員会に対しまして東京開催を要請したところでございまして、実現の見通しを得られたということは大変喜ばしく思っております。  開催に当たりましては、東京国際フォーラムなどの活用、来訪者との交流の場として設定をいたしております。大会の成功に向けまして努力を重ねてまいりますので、皆様方のご協力をお願い申し上げる次第でございます。  それから、観光コンベンション事業の誘致と世界都市博覧会中止の感想についてということでございましたが、経済がますますグローバル化しております今日、観光コンベンションビジネスというものは、大変大きな意味合いを持ってくるだろうということは私も承知をいたしておりまして、「生活都市東京の展開 改訂重点計画」の中にも位置づけておりまして、ますます積極的に進めていかなければならない問題だと思っております。  それから、世界都市博の中止につきましてですが、これは、私の都民に対する政治的責任において決断をしたものでございます。  以上でございます。  なお、残余の問題につきましては、東京都技監並びに局長から答弁をさせていただきます。    〔東京都技監佐藤一夫君登壇〕 ◯東京都技監(佐藤一夫君) 最初に、常磐新線の仮称六町駅設置工事に伴う用地借り上げの現状ですが、本駅につきましては、予定している平成十一年度、工事に着手するべく、必要な用地約一万二千平方メートルを区画整理事業の仮換地指定に先立って借り上げることとしておりますが、これまでに約六五%を手当ていたしました。  残りの用地につきましても、今年度中に手当てするべく、積極的に取り組んでまいります。  次に、日暮里・舎人線を担当する組織体制についてのお尋ねですが、本路線は、ただいま知事がお答えいたしましたように大変重要な事業であり、今後、用地や工事の事業量が増大するとともに、大規模な地下埋設物の移設、鉄道との交差、荒川や隅田川の横断など、困難でかつ高度な技術を必要とする工事が多々予定されております。  したがって、事業の進捗に合わせ、必要となる執行体制を整え、遺漏のないよう努力してまいります。    〔都市計画局長成戸寿彦君登壇〕 ◯都市計画局長(成戸寿彦君) 常磐新線に関します二点のご質問にお答えいたします。  まず、常磐新線の仮称六町駅の建設工事着手時期に関するお尋ねでございますが、本駅の建設工事は、来年一月末に発注される予定であると、常磐新線の建設主体でございます鉄道建設公団より聞いております。  次に、六町駅の起工式についてのお尋ねでございますが、いわゆる起工式は、鉄道建設公団が工事を発注した後、工事を請け負いました施工会社が行うものでございます。工事請負契約後の準備作業が順調に進みますれば、これまでの例から見ましても、来年四月の中旬ごろにはとり行われる見込みと、鉄道建設公団から聞いている次第でございます。    〔衛生局長柳澤英治郎君登壇〕 ◯衛生局長(柳澤英治郎君) 薬事行政二点につきまして、お答えを申し上げます。  まず、医薬品の大型チェーン店における薬剤師の勤務状況等についてのお尋ねでございますが、本年十月に、都内の大型チェーン店六百六十四店のうち二百八十二店を調査した結果では、ご指摘のとおり、薬剤師不在の店舗が約三割ございました。  このため、現在、すべての大型チェーン店の状況について、さらに調査を進めているところであります。この調査結果は、まとまり次第、速やかに公表する予定であります。  また、薬剤師の勤務状況が不良な店舗があった場合は、特別区とも協議の上、文書により指導し、仮に是正されない場合は、管理薬剤師の変更命令などの行政処分を行うことになります。  次に、かかりつけ薬局の普及啓発についてのお尋ねでございますが、都民が身近な地域において医薬品に関する情報の提供や相談窓口となるかかりつけ薬局を持つことは、地域医療システムの整備や都民の健康づくりを進める上で重要であると考えております。  このため、都では従来から、薬局への指導や研修を通して、かかりつけ薬局の育成に努めるとともに、都民向けパンフレットを作成するなど、普及啓発を行ってきたところであります。  今後とも、薬剤師会等関係団体と緊密な連携を図りながら、これらの施策の充実強化に努めてまいります。    〔住宅局長英辰次郎君登壇〕 ◯住宅局長(英辰次郎君) 東京都住宅供給公社についての四点のご質問にお答えいたします。  まず、東京都住宅供給公社の経営の現状に対する認識と、公社経営健全化五カ年計画の評価についてのお尋ねでございますが、公社経営は、近年、賃貸住宅空き家の増加、長期保有用地や分譲在庫を抱える等の問題が顕在化してきておりまして、これらの問題が経営に大きな影響を及ぼしつつあると認識をいたしております。こうした判断のもとに策定を指示しました公社経営健全化五カ年計画では、経営の安定化に向けた今後の目標や事業展開の方向が明確になったものと考えております。今後、この計画の達成に向けて、適切な指導と支援を行ってまいります。  次に、公社住宅の建てかえ事業についてのお尋ねでございますが、これまで、公社一般賃貸住宅建てかえ事業は、仮移転用住宅の確保が難しいことや、建てかえ後の家賃負担の問題などから、円滑に進みにくい面がございました。今後は、都心居住の推進や木造住宅密集地域の整備などの住宅政策課題と連動させながら事業化し、計画的、効率的に建てかえを実施しますとともに、高齢居住者等に対応した借り上げ公営住宅制度の活用とか、定期借地権つき分譲住宅の併設など、新しい事業手法も取り入れ、より積極的に事業展開が図られるよう、公社を適切に指導してまいります。  次に、公社の組織体制整備についてのお尋ねでございますが、公社住宅、都営住宅の管理業務が多様化、複雑化する中で、居住者に対してこれまで以上にきめ細かいサービスを提供していくことが求められております。そのため、公社は、本社部門を縮小しまして、地域に密着した管理業務を総合的に行う支社と、そのもとで居住者への窓口サービスを専門に行うサービスセンターを設置する組織改正を、現在準備中でございます。都としましては、この組織改正及び職員の配置に当たって、現場部門強化に向けた体制整備が図られるよう指導してまいります。  最後に、公社の経営安定化のための方策についてのお尋ねでございますが、経営安定化を進めるためには、公社がみずからの責任と努力によって自律的に事業展開を図る体制に変革していくとともに、東京都が的確な支援を行うことも必要であると考えてございます。支援策については、ご提案の方策も含め、今後、幅広い角度から検討してまいります。    〔生活文化局長茅野祐子君登壇〕 ◯生活文化局長(茅野祐子君) 観光・コンベンション政策について、二つのご質問にお答えいたします。  まず、東京コンベンション・ビジターズビューローの活動と成果についてのお尋ねでございます。  東京コンベンション・ビジターズビューローは、昨年十二月、東京商工会議所を中心に、多くの方々の協力を得て、観光・コンベンション振興の中核的な組織として発足して以来、国内外での東京の観光PR活動や、先月開催された国際会議協会総会への協力などを行ってきたところです。  お尋ねの、平成十二年のノーベル賞級の学者が集う世界学術会議及び平成十五年の五千人規模の世界ガス会議についても、国内の組織委員会に積極的に誘致のための働きかけを行っており、東京での開催可能性が高いと考えております。  次に、ビジター産業の振興のための基盤整備についてのお尋ねでございますが、東京への来訪者が快適に過ごすためには、ソフト面での条件整備が重要と考えております。東京コンベンション・ビジターズビューローでは、広く民間企業と連携し、来訪者への情報提供を行うとともに、各種の優遇策を検討しているところです。  都といたしましても、都営地下鉄のTカードを利用した文化施設の割引制度や、国際会議の円滑な運営のための語学ボランティアの導入を行うなど、今後さらにビューローと連携し、来訪者を温かく迎えるための基盤づくりを進めてまいります。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 五十五番古館和憲君。    〔五十五番古館和憲君登壇〕 ◯五十五番(古館和憲君) 初めに、介護保険についてです。  昨日の我が党代表質問で、介護保険への対応についてただしましたが、都の基本姿勢にかかわる六問の質問に対し、知事はついに一言も答弁されませんでした。中でも私が驚いたのは、都民にとって必要な福祉事業は断固として守り抜く、自治体の長としての決意と意欲があるのかどうか、あえて知事に問うた質問にさえ、お答えにならなかったことであります。要するに知事は、都民福祉を守り抜く自治体の長としての決意も意欲も示さなかったのであります。  かわりに答弁に立った高齢者施策推進室長は、老人福祉手当についても、特別養護老人ホームの職員配置などの都加算についても、その他の現行福祉サービスについても、それらを守る努力をするどころか、欠陥だらけの介護保険制度に合わせて見直しを推進する方向を表明しました。  改めて強調しておきますが、老人福祉手当の切り下げや廃止は、在宅寝たきり高齢者と家族の生活崩壊にさえつながるものであります。特別養護老人ホームなどの都加算の切り下げや廃止は、利用者サービスの大後退と施設経営の深刻な危機を招くものであります。こんなことを介護保険を理由にやろうなどということは断じて許されません。  また、現行の配食サービスなど、都民にとって必要なサービスで介護保険の対象外となるものへの、都としての財政支援を求めた質問に対する答弁は、区市町村が検討すべき課題であるという冷たいものでした。そもそも、区市町村がやるべきことだから都は関係ないなどという態度では、東京の福祉は成り立ちません。成り立たないからこそ、市町村は、介護保険の対象外になるサービスへの財政支援を明確に都に要望しているのではないでしょうか。  この市長会や町村会の要望に耳を傾け努力する気があるのかないのか、事は東京の福祉のあり方、水準にかかわる重要問題であります。知事の明確な答弁を求めるものです。  都民福祉を守る立場に立つことなしに、介護保険との整合性を図るなどといって見直しを進めると、どんな大きな問題が生まれるか。その実例が、私の地元板橋区でことしの四月以降起きている、ヘルパー派遣の時間や回数の削減問題であります。つえをついて歩くのがやっとのひとり暮らしの人、病弱で入退院を繰り返している人、心臓ペースメーカーを装着しており無理のきかない人、こういうお年寄りの方々へのヘルパー派遣が、週三回だったのが二回とか一回に、一回の派遣時間が三時間から二時間にと、切り刻むように減らされているのです。  これは、国と都が、介護保険との整合性を図るために、今年度から先行的にヘルパー派遺制度を切りかえたことによって生まれたことであり、決して板橋区だけの問題ではありません。新しい制度は、サービスの必要性を厳しくふるいにかけた上、効率化の名のもとに、一時間で行う業務内容を過大に設定したものであります。厚生省が示したモデルでは、例えば家事援助の場合、一時間当たりの業務内容は、ベッド回りの整とん、洗濯、乾燥、取り入れと収納、掃除、ごみ出し、その上、生活上の助言、話を聞くなどによる心理的支援などの項目が並んでいます。どのヘルパーさんに聞いても、これを一時間でこなすのは無理という声が返ってきます。  ある区では、この新制度への転換について、介護保険になると希望者がふえるのに供給は追いつかないから、広く薄くとせざるを得ない、それに今のうちから対応するものと訓示しています。板橋区では、ヘルパーが、時間の削減は納得できないと食い下がると、ご飯の最中に掃除機をかけなさい、それができないならヘルパーをやめなさいといわれています。そして、ヘルパー派遣の時間や回数を削られた人たちからは、悲痛な声が次々寄せられております。体がどんどんきかなくなって、それだけで切ない思いをしているのに、ヘルパーさんまで削るなんて。買い物に行けないのが一番困る、夜は出前で済ますことが多くなった。これから先、どうやって生きていけばいいのか。涙ながらの訴えというのも、決して大げさではありません。この方たちにとってヘルパー派遣は、文字どおりなくてはならない生活の支えであり、命綱なのであります。  この問題は国会でも取り上げられ、宮下厚生大臣は、新制度への転換を理由として個々の利用者に対するサービスの低下があってはならないと答弁していますが、都の見解を伺います。  また、同じ国会質疑で厚生省政務次官は、さきに紹介した業務内容のモデルについて、それは一つの参考資料であり、これをもって市区町村の判断を拘束するものではないと明快に答弁しています。一方、都は、一時間当たりの業務内容が過大と思われるとの日野市からの疑義照会に、どう答えていますか。効率的かつ質の高いサービスを提供することを前提にするのであれば妥当な内容といえる、これが都の正式回答であります。区市町村は、これに拘束されて、派遣時間や回数の切り下げを推進したのではないでしょうか。  厚生省の業務内容のモデルは、あくまで参考資料であり区市町村を拘束するものではないという厚生省自身の見解と都の見解は同じなのか、違うのか、所見を伺います。  ヘルパー派遣事業の新制度における一時間当たりの補助単価が低過ぎることも大きな問題であります。身体介護の補助単価も低過ぎますが、それ以上に家事援助は低く抑えられており、そのことが、家事援助を中心としたサービス切り下げにつながっているのです。ホームヘルパーを確保するために必要な経費に見合うだけの補助の引き上げを国に要望するとともに、都としての加算を行うことが重要ですが、見解を求めます。  こうした一連の経過を見たときに心配されるのは、介護保険が実施された後、ヘルパー派遣事業はどうなるのかという問題であります。そもそも再来年実施時点のサービス供給量は、サービスを必要とする人の四割をカバーするものにすぎません。しかも、介護保険は名前のとおり介護のための保険であり、家事援助の必要に十分に対応できるものではありません。介護保険への対応として、都が区市町村と協力して、保険だけではカバーできない家事援助及び身体介護のホームヘルプサービスを補うための、独自のヘルパー派遣事業を整備するよう求めるものであります。所見を伺います。  最後に私が強調したいのは、都民の痛みを痛みとして感じる心を持って福祉行政を進めることの重要性であります。そして、介護保険の不十分さや問題点、介護保険だけではカバーできない問題があるときには、都民サービスを維持し充実させる立場で、都として積極的に対応するよう改めて強く求めるものであります。  知事、いかがですか。都民にとって必要な福祉サービスの水準は断固として守り抜く、その決意と意欲があるのかどうか、都政の最高責任者たる知事の答弁を改めて求めて、次の質問に移ります。  次に、清掃事業の特別区への移管問題についてです。  本年四月、都区制度改革に関する地方自治法の一部改正が行われ、ようやく特別区が基礎自治体として名実ともに位置づけられることになり、懸案であった清掃事業についても、法制度上、特別区の責務とされることになりました。一九六二年の法改正以来の二十三区民の悲願がここに実現することになったのであり、我が党は、特別区が基礎自治体として新たなスタートを切ることについて歓迎するものであります。  同時に、清掃事業を円滑に特別区に移管する上で、まだ多くの解決すべき課題が残されております。その一つが、一般ごみの収集、運搬、中間処理の問題です。二〇〇〇年四月の移管が目前に迫っているのにもかかわらず、今日の時点で、いまだに収集、運搬の取り扱いについて関係者間の合意は形成されておりません。都民や関係者から、これで移管後のごみ処理がスムーズに行えるのかとの不安の声が上がるのも当然であります。  これまで、都は、移管を積極的に推進しなければならない立場にあったにもかかわらず、いたずらに問題の解決をおくらせてまいりました。それは、収集、運搬、中間処理について、昨年十二月二十二日には、特別区との間で、清掃事業を区が実施すると確認し、その一方で二日後の二十四日には、清掃労働組合との協議では、何らかの一括方式をとることを言明するなどと、全く相違った方針を提起するという、二面的で無責任な態度に終始してきたことであります。本来であれば、当然、移行のための事務的作業が行われていておかしくないこの時期に、いまだに基本的合意が形成できないという異常な事態です。  我が党は、基本的に清掃事業は基礎自治体となる特別区が行うものと考えますが、この間の経緯と関係者間の協議の推移を踏まえて、都区間で合意に至っていない収集、運搬については、特別区が行うことが法改正の趣旨にも沿うものであり、また、住民に身近な自治体が責任を負うことで、立ちおくれている二十三区のごみの減量・リサイクルの取り組みを大幅に改善することも可能となるからであります。  この点で、都が、清掃工場の焼却能力がダイオキシン対策のため不足するとして、収集、運搬及び中間処理の一括処理が必要であるとしていることは問題であります。この考え方は、ごみの発生が今後も減らずに推移するという予測を不動のものとして扱うことで、広域的な搬入調整が必要であり、特別区による収集、運搬は混乱を招くとするものであります。  しかし、大都市行政として行う一括処理方式は、これまでの経験が示すように、減量・リサイクルの取り組みをおくらせることはあれ、促進するものとはならないことは明らかであります。昨年、都が策定した一般廃棄物処理計画は、ごみ量は今後十年以上減らないという計画を立て、この予測に基づいて清掃工場の焼却量を決めているのであります。発想が逆立ちしているのではありませんか。資源循環型社会と知事がいうのなら、燃やすことを奨励するのではなく、ごみを減らすことを基本とすべきであります。  知事、なぜ都民に率直に事態を伝え、大幅な減量に取り組むことを訴えようとしないのですか。なぜ、清掃工場に持ち込まれるごみを大胆に減らして清掃工場への負担を軽減しようとしないのですか。これが、収集、運搬をスムーズに進める最短の道ではありませんか。知事、これ以上問題解決を先送りするのではなく、移管後、清掃事業の主体となる特別区の意向を尊重し、合意形成に努めることが事態解決の道と思いますが、どうか、見解を伺います。  もう一つ急がれる問題が、清掃事業のノウハウを特別区がスムーズに引き継ぐための対策であります。特別区には、初めて行う清掃事業について経験も知識もないことは当然です。だからといって、それを理由に移管をおくらせることにはなりません。今必要なことは、一日も早い合意を急ぐとともに、移管を想定したモデル実施や試験的作業など、移管に先立って実施し、特別区に清掃事業を実際に体験をしてもらうことです。このように万全の支援を行うことによってこそ、関係者間の認識と相互の理解も深まり、そのことが円滑な移管を可能ならしめるのではないでしょうか。それぞれ見解を伺います。  移管をスムーズに進める上で、清掃労働組合を初めとする、清掃事業を現場で支えている労働者の理解と協力は不可欠であります。その際、清掃事業に従事する労働者がみずからの仕事に誇りを持って、また、将来的にも安心して取り組む上で、自治体労働者としての身分、労働条件の保障を求めるのは当然であり、東京都と特別区がこの点について十分配慮した協議を進めることを求めるものであります。  知事、移管後の当事者となる特別区と清掃労働組合や雇い上げ車の労働組合、関係業者などとの話し合いの場を早急に設けることが必要と考えますが、どうか、答弁を求めます。  日本共産党は、清掃行政の特別区への移行を契機に、二十三区での減量・リサイクルの取り組みを抜本的に強めることを提案し、党として全力を尽くすことを表明して、私の質問を終わります。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕
    ◯知事(青島幸男君) 古館和憲議員のご質問にお答え申し上げます。  まず、私に対するご質問は、高齢者福祉サービスの水準についてでございました。  介護保険制度の実施により、高齢者福祉施策は大きく変わることとなります。このため、都の高齢者施策全般について、見直すべきものはきちっと見直し、充実すべきものは充実し、時代の変化に的確に対応できるように再構築をしていくということがどうしても必要であろうかと考えております。  私は、都民生活を将来にわたり持続的に豊かで安定したものにすることが、自治体の長としての重大な責務であると考えております。高齢者施策の再構築は、福祉水準総体を低下させようというふうに考えているものではないということをご理解いただきたいと思います。  次に、清掃事業の移管についてでございますが、特別区の意向を尊重し、合意に努めるべきというご指摘がございました。  都は、移管後の清掃事業の運営形態につきましては、法改正以降、平成六年に都区間で合意した内容を基本に、その後の清掃事業を取り巻く状況の変化も踏まえながら、特別区と協議をしているところでございまして、現在、最終的な調整段階にありまして、年内には合意が得られるよう最大限の努力をしているところでございます。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁させていただきます。    〔高齢者施策推進室長神藤信之君登壇〕 ◯高齢者施策推進室長(神藤信之君) 介護保険に関しまして、五点のご質問にお答えします。  最初に、介護保険の対象外サービスに関する市長会などの財政支援の要望についてのお尋ねでございます。  これは、介護保険制度にかかわるさまざまな要望事項の一つとして出されたものでございますが、都は、これまでと同様に、区市町村と連携を密にしまして、介護保険制度の円滑な実施に向け取り組んでいきます。  次に、ホームヘルプサービス事業の事業費補助方式によるサービスの低下についてのお尋ねでございますが、今年度から実施した事業費補助方式は、区市町村が、利用者ごとに援助計画を作成し、個々の利用者に対し、その状況に応じた適切なサービスが確保されるようにするものでございまして、本方式への転換がサービスの低下をもたらすものとは考えておりません。  次に、ホームヘルプ業務内容のモデルに関する都の見解についてのお尋ねでございますが、国から事例として示された、事業費補助方式における一単位当たりのサービス内容は妥当なものでございまして、国の見解と異なるところはございません。  ホームヘルプサービスの補助についてのお尋ねでございますが、都は、今年度、ホームヘルプサービスの充実のため事業費補助方式を導入いたしまして、前年度に比べ、予算額をほぼ倍増するとともに、利用者一人一人の状況に応じた適切なサービス提供を図っているところでございます。  最後に、独自のヘルパー派遣事業の整備についてのお尋ねでございますが、福祉サービスは、地域における福祉施策全体の中で考えるものでございまして、家事援助サービスなどについては、地域福祉推進の主体でございます区市町村が、地域の実態に応じて検討すべき課題であるというふうに考えております。    〔清掃局長福永正通君登壇〕 ◯清掃局長(福永正通君) 清掃事業の区移管を想定をしたモデル実施や試験的作業を実施すべきというお尋ねでございますが、都は、移管後、特別区が清掃事業を円滑に行えるよう、現在、特別区から管理監督者を含め広く研修生を受け入れて実習を行っております。  今後は、さらに具体的な事例に即しながら、これまで培ってまいりましたノウハウや知識を特別区に提供し、清掃事業の区移管に必要な準備を進めてまいります。    〔総務局長木宮進君登壇〕 ◯総務局長(木宮進君) 清掃事業の区移管問題に関連して、移管後の当事者となる特別区と労働組合などとの話し合いの場を設けるべきとのお尋ねでございますが、清掃事業の移管について、都は、職員団体との協議も踏まえながら、移管後の清掃事業の運営形態や職員の身分取り扱いについて、特別区との話し合いを行っているところでございます。  また、これまで、清掃事業の一翼を担ってまいりました傭上業者とは、移管後も一定期間、現行方式を継続する旨を平成六年に取り決めておりまして、これに沿って、今後具体的な協議を進めてまいります。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 六十一番石川芳昭君。    〔六十一番石川芳昭君登壇〕    〔議長退席、副議長着席〕 ◯六十一番(石川芳昭君) 私は、住宅、良好なまちづくり、保健医療に関連して、知事及び関係局長に質問いたします。  初めに、住宅問題に関連して、分譲マンション対策についてであります。  近年、東京における住宅供給は共同住宅が主流を占め、今日、住宅戸数の三分の二を占めるなど、広く普及してきています。これらのうち、区分所有の共同住宅である分譲マンションは、都民の根強い持ち家志向を背景に、今や持ち家の四分の一を占めるまでとなり、東京の主要な居住形態として今後も増加していくことが見込まれます。  しかし、これまでに供給されてきた分譲マンションの中には、共同住宅としての住まい方や維持管理などについて、さまざまな問題点があることが指摘されているのであります。また、特に、分譲マンションの建てかえに向けた準備もほとんどなされておらず、さきの阪神・淡路大震災を契機に、一挙に大きな社会問題として顕在化したところであります。  このため、都としても、住宅政策審議会にこの問題を諮問し、昨年五月には維持管理についての、続いて本年五月には建てかえについての答申が出され、今日、都として問題解決への第一歩を踏み出したところであります。  そこで伺います。  まず第一に、分譲マンションの維持管理及び建てかえ問題について、知事の所信を伺います。  第二に、本年九月四日に初会合が行われた東京都分譲マンション関連団体連絡協議会は、今後、分譲マンション問題に向けて大きく期待されているところであります。協議会の成果を速やかに都の住宅政策に反映すべきであります。具体的にお示しください。  第三に、管理組合や居住者がみずからの責任と判断のもとに良好な維持管理を行っていけるよう、都の支援はもちろんのこと、区市との連携が大切であります。そこで、二十三区二十七市に相談体制の整備を図る必要がありますが、窓口の開設時期及び人材育成に向けた都の支援について明らかにしていただきたい。  第四に、建物や設備などが管理組合等により、長期間にわたり良好な状態で保全されるよう、長期修繕計画の作成や大規模修繕に対して住宅局は積極的に支援すべきでありますが、所見を伺います。  第五に、建てかえに当たっては、資金調達や権利調整など、さまざまな課題があり、将来の老朽化に伴うスラム化を防ぐためにも、今後、円滑に建てかえを進めるため、国とも協議し、仮称分譲マンション建てかえ整備事業といった事業制度の創設を提案いたします。所見を伺います。  次に、良好なまちづくりに関連して伺います。  まず、東京外郭環状道路の整備についてであります。  この道路は、これまで、平成四年十一月には埼玉県内の常磐道から和光インターチェンジが供用され、都内部分についても、掘り割り構造への計画変更を行った上で、平成六年三月に和光インターから関越自動車道までの間が供用されました。  この結果、常磐、東北、関越道が直結したことにより、これまで道路の混雑が激しく、移動時間が多くかかっていた埼玉県南部の都市間移動が大変スムーズになるとともに、区部西北地域から東北・常磐道方向への利便性が飛躍的に向上するなど大きな効果が見られ、さらに、今後は関越以南から東名までの延伸整備への期待が高まっているのであります。  このため、平成九年九月に、厚生省と東京都による東京外かく環状道路懇談会が開催され、道路構造等については地下構造を有力な案とし、今後は関係自治体等の意見を幅広く聞きながら、計画の具体化を図っていくことが確認されました。そして、ことしの三月には、東京都、国、関係七区市から成る東京外かく環状道路とまちづくりに関する連絡会が設置され、活発な意見交換がなされていると仄聞しております。  そこで伺います。  第一に、外環整備に対する知事の基本的な考えを明らかにしていただきたい。  第二に、関係区市の地元からは、地域住民に対し正確な情報が伝えられていないとの声をたびたび耳にします。都として、協力いただく関係住民に対して、外環の整備手法や関係区市のまちづくり整備との整合性、さらに自動車排ガス対策などの環境の情報など、積極的に都民にPRすべきと考えます。  第三に、外環の都市計画区域内には、住居系の地域のほか、自然環境が豊かな地域や商店街などが多く含まれております。まちづくりは、基本的には区市が主体となって調整すべきでありますが、こうした外環整備にかかわる住宅、環境、産業振興等の問題については、区市など関係機関を含めて、早い段階で調整すべき課題であると考えます。  第四に、外環整備に当たっては、地元練馬区西部の交通不便地域の解消が不可欠であります。そこで、外環整備とあわせて、バスやLRTなどの公共交通の導入を計画し、それと整合を図ったまちづくりを進めるべきと考えます。  第五に、関越以南の整備については、防災機能の強化や道路ネットワークなどの観点から、都市計画道路の一環としての役割を果たすことは、連絡会において説明されてきました。しかし、都が今後どのような予定で計画を進めるかについて、明らかにされておりません。都としての今後の取り組み姿勢を明らかにすべきであります。  以上、五点について具体的に所見を伺います。  次に、風致地区制度の見直しについてであります。  昭和初期に指定された区部の風致地区は、長年にわたる市街化の進行によって、土地利用が当初の目的に合わなくなってきております。  例えば、練馬区大泉風致地区は、指定された初期には、武蔵野の地域の一部として守るべき自然と景観がありましたが、現在、外郭環状道路の供用開始、地下鉄十二号線導入空間となる都道補助二三〇号線の街路部分の現況測量が始まるなど、開発が進行し、かつての景観は失われております。しかしながら、建築規制だけはいまだに生き残っているため、市街化整備が促進されない状況であります。そのため、私は昭和六十二年第四回定例会で、この見直しについてただしたところであります。  その結果、都においては、昭和六十三年から、建設局、都市計画局、環境保全局で構成する東京都風致地区連絡協議会において見直しの検討を開始しましたが、今になってもこの結論が出ず、成案が得られない状態であります。  このため、街路事業では、その対象者の生活再建が最も重要でありますが、風致地区の建築規制は、残地での生活再建をより困難なものにしております。また、地下鉄十二号線の免許取得の準備を進めることとし、基本設計では大泉風致地区内に二つの新駅設置が予定されていますが、その市街化整備計画が立案できない状況であります。  そこで伺います。  第一に、都は、練馬区と協議の上、大泉風致地区の東地区については全面解除、西地区については、バス通りを中心とした線的な解除の見直し案を検討すると約束されておりますが、現在までの進捗状況をお示しください。  第二に、練馬区はこの見直し案の実現に期待しておりますが、都は、この地区についてどのような方法で市街化整備を促進していくのか、その手法、あわせて今後の風致地区見直しのスケジュールについて明らかにしていただきたい。  次に、歩行者の安全対策について伺います。  今日、多くの高齢者、障害者の方々から、道路の交通安全施設に対して、歩道橋の撤去、改善、横断歩道の信号機の青表示時間の延長など、さまざまな要望や意見が各方面から寄せられています。都においては、平成八年八月に東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルを策定し、こうした声にこたえるべく、福祉のまちづくりを進めているところであります。  そこで、横断歩道橋と横断歩道について伺います。  まず、横断歩道橋について、既に都は実態調査を行い、本年四月に基本方針を定めたと聞いています。今後は、早急に具体的な改良等の取扱計画を策定すべきであります。  さらに、横断歩道に関連して、施設整備マニュアルの中で、信号機の誘導基準として待ち時間表示装置を併設すると示していますが、高齢者などの安全な横断を促すためには、横断可能時間表示装置をも併設することを施設整備マニュアルに盛り込むべきと考えます。  以上、東京都技監と福祉局長の具体的な所見を伺います。  最後に、保健医療に関連し、医薬分業について伺います。  医薬分業は、医師と薬剤師がそれぞれの専門性を発揮し、より質の高い医療を目指すとともに、患者やその家族が薬について薬剤師から十分な説明を受けられるなど、さまざまなメリットがあるため、今日、処方せん発行が急速に進むようになりました。  こうした観点から、以下数点にわたり、衛生局長に質問いたします。  その第一に、医薬分業の推進に都立病院が果たす役割は重要と考えますが、都立総合病院の院外処方せん発行率は、平成九年度で平均約五〇%となっており、発行率の高い病院と低い病院に二分されています。院外処方せん発行率の低い都立病院は、その発行拡大に取り組むべきであります。  第二に、院外処方せんの発行に当たっては、薬品名や用法を日本語で記載するなど、患者さんや保険薬局にとってわかりやすいものとすべきであります。都立総合病院においては、処方オーダーシステムを導入し、わかりやすい処方せんの発行に努めていると聞いていますが、一部の病院においては未整備であります。このシステムの導入を一日も早く完了させ、活用を図るべきであります。  第三に、医薬分業を円滑に進めていく上では、医療機関と保険薬局の連携が必要であり、関係者による医薬分業に関する検討の場を設置すべきであります。  第四に、患者にとって保険薬局は、地域における医薬品等の供給、相談役として、住民の期待が大変大きいと考えます。今後、医薬品情報提供システムの整備など、都としてどのように対応していかれるのか。  以上、具体的な答弁を期待し、私の質問を終わります。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 石川芳昭議員のご質問にお答え申し上げます。  まず、分譲マンションについてのお尋ねでございました。  分譲マンションが良好に維持管理され、また、円滑に建てかえが進められますことは、住宅の質や地域の環境を維持向上させる上で大変重要なことだと認識をいたしております。  分譲マンションの維持管理や建てかえは、区分所有者がみずからの責任と負担によって行うのが基本となっておりますが、合意形成がなかなか難しいなどの問題がございます。私自身も、知事になります前に約三十年間にわたって集合住宅に住んでおりましたので、その辺の難しさは、痛いほどよく理解をいたしております。  分譲マンションを良質な社会的ストックとして維持、形成してまいりますことは、今後ますます重要になってくることだと思います。都といたしましては、区市町村と連携をとりまして、必要な支援を行っていかなければならないと考えているところでございます。  次に、東京外郭環状道路についてご言及がございました。  東京外郭環状道路は、不足しております環状方向の道路整備をすることによりまして、バランスのとれたネットワークを形成するものでございまして、都心部のみならず、東京圏におきます自動車交通の分散、渋滞解消を図りますとともに、区部西部地域や多摩東部地域の交通の利便性を向上させてまいりますなど、東京の均衡ある発展に寄与すること、大変なものでございまして、非常に重要な路線であると考えております。  しかし、その整備に当たりましては、既成市街地を通過することもあり、地域環境との調和とか、あるいは難しい条件もかなり含まれているのだろうと思います。この点を回避するため、十分配慮していく必要があるかと考えております。  今後、地元区市や、あるいは国及び地域住民の方々などとも広く意見交換をしながら、計画の具体化に向けて努力してまいらなければならないと考えております。  なお、その他のご質問につきましては、東京都技監並びに関係局長から答弁させていただきます。    〔東京都技監佐藤一夫君登壇〕 ◯東京都技監(佐藤一夫君) 横断歩道橋の取扱計画についてお答えいたします。  本年四月、歩道橋の新設、改良及び撤去について基本方針を定めました。この方針に基づき、高齢者や障害者などの利用が多い歩道橋の新設、改良に当たっては、地元の区市や関係住民の協力を得て、スロープまたはエレベーターなどの計画的な設置に努力してまいります。  また、利用者が少なく、近くに横断歩道が設置されている歩道橋については、地元の区市や町会などの合意のもとに撤去してまいります。    〔住宅局長英辰次郎君登壇〕 ◯住宅局長(英辰次郎君) 分譲マンション対策について、四点のご質問にお答え申し上げます。  まず、東京都分譲マンション関連団体連絡協議会についてのお尋ねでございますが、現在は、維持管理に関する相談体制の整備や、相談員向けのマニュアル、居住者向けガイドブックの作成について協議を進めてございますが、アドバイザー派遣制度や、建てかえ問題についても議題とすることを予定いたしてございます。  今後、これらの問題について、連絡協議会の場を通じ、関連団体や関係行政機関の意見を幅広く聞きながら、施策の具体化に反映させてまいります。  次に、各区市の相談体制の整備等についてのお尋ねでございますが、都と区市で構成される行政連絡会における協議を踏まえまして、平成十一年度に向け、相談窓口の開設等の準備が進められているところでございます。  都としましては、区市の相談員向けのマニュアルを今年度中に作成しますとともに、講習会などを実施し、人材育成に向けて支援を行ってまいります。  次に、建物や設備の保全に対する支援についてのお尋ねですが、都としては、分譲マンションが良好に維持、保全されるよう、規模や形態に応じたきめ細かな長期修繕計画モデルを作成し、その普及に努めますとともに、大規模修繕に必要な費用が計画的に積み立てられる仕組みについて検討してまいります。  また、共用部分を修繕する管理組合に対して利子補給を行うマンション改良工事助成制度の一層の普及にも努めてまいります。  最後に、円滑な建てかえのための事業制度の創設についてのお尋ねでございますが、建てかえについては、合意形成に当たっての困難な課題がございます。都としては、さきに発表した改訂重点計画におきましても、維持管理と同様、相談体制の整備など側面的な支援を行っていくこととしてございます。  今後は、関係法制度等を含め、円滑な建てかえのための事業のあり方について幅広く調査研究を行い、区市町村とも連携しながら、必要に応じて国等に対して要望を行ってまいります。    〔都市計画局長成戸寿彦君登壇〕 ◯都市計画局長(成戸寿彦君) 都市計画に関するご質問にお答えいたします。  まず、東京外郭環状道路、いわゆる外環についてのご質問が四点ございました。  一点目は、外郭環状道路について、都民に対し積極的にPRすべきというご質問でございます。  外環についての正確な情報を伝えていくことは、地域の方々を初め、広く都民の道路整備に対する理解や協力を得ていく上で大変重要なことと考えております。
     このため、東京都の広報やパンフレットの配布、インターネットの活用などによりまして、外環の必要性や整備効果、まちづくりや環境に関する情報などについて積極的に都民にPRしていきたいと考えております。  二点目は、外環にかかわるまちづくりについて、地元区市などと早い段階で整備すべきとのお尋ねでございます。  都では、本年三月に、外郭環状道路の整備並びにそれにかかわるまちづくりにつきまして、計画の具体化に向け検討を行いますために、関係区市及び国から意見を聞く場といたしまして、東京外かく環状道路とまちづくりに関する連絡会を設置し、意見交換を行っているところでございます。  今後、外環の地上部のあり方や地域環境との調和を図るなど、まちづくりについて、その主体である地元区市等と十分に調整を図ってまいります。  三点目は、外環の整備とあわせて、バス等の公共交通の導入を計画し、それと整合を図ったまちづくりを進めるべきとのお尋ねでございます。  外環の整備に当たりましては、交通不便地域の解消を図りますとともに、基盤整備のおくれや防災性の向上などのまちづくりの課題をあわせて解決していくことが望ましいと考えておりまして、昨年都が公表いたしました調査報告でも、バスレーンの設置など公共交通を確保していくことを、地域のまちづくりの一例として提案してきたところでございます。  今後とも、地域の要望等を聞きながら、地元区市とともに、まちづくりの検討を進めてまいります。  四点目は、外環の整備に対する今後の取り組み姿勢についてのお尋ねでございますが、外環は、バランスのとれた道路ネットワークを形成し、東京の均衡ある発展に寄与する大変重要な路線であると考えております。  これまで、地下構造を有力な案として地域のまちづくりに関する調査を実施いたしますとともに、地元区市等と連絡会を設置し、外環に関する情報提供、必要性や整備効果、多方面から幅広い意見を聞く方策などについて意見交換を行っているところでございます。今後とも、地元区市や地域住民等から幅広く意見を聞きながら、まちづくりや環境に十分配慮するなど、計画の具体化に向けた努力をしてまいります。  次に、風致地区制度について、大泉風致地区の見直しの進捗状況についてのお尋ねがございました。  風致地区の見直しにつきましては、建設省で制度の見直しが行われ、東京都はこれを受けまして、見直しの基本的な方針を取りまとめたところでございまして、現在、練馬区を初めとする関係区市に対して、順次この方針の説明を開始いたしております。  大泉風致地区につきましても、この方針に基づき、都市計画の変更に向けて、地域特性を勘案し、練馬区と協議を進めてまいります。  また、大泉風致地区の見直しなどについてでございますが、大泉風致地区のうち、風致の回復が困難な状況にあり、かつ、地区計画等の都市計画的手法により良好なまちづくりが担保される区域につきましては、都の風致地区に関する見直しの基本方針に基づき、市街地の整備を進めてまいります。  また、都内における風致地区の見直しは、準備の整った箇所につきまして、平成十二年度から順次行ってまいります。    〔福祉局長石川雅巳君登壇〕 ◯福祉局長(石川雅巳君) 福祉のまちづくり施設整備マニュアルについてのお尋ねでございますが、だれもが安全で安心して横断歩道を利用することができるよう、信号機につきましても、高齢者、障害者などに対しまして一層の配慮が必要だというふうに考えております。  ご提案の横断可能時間を表示する装置の信号機併設につきましては、その有効性などを十分検証した上で、施設整備マニュアルに盛り込むことにつきまして、関係機関と協議し、検討してまいります。    〔衛生局長柳澤英治郎君登壇〕 ◯衛生局長(柳澤英治郎君) 医薬分業につきまして、四点お答えをいたします。  まず、都立病院における院外処方せんの発行拡大についてのお尋ねでございますが、平成九年度における都立総合病院の院外処方せんの発行率は、平均約五〇%となっており、都内全病院の平均四一%を上回っております。しかし、ご指摘のとおり、発行率の低い都立病院もあり、今後とも引き続き、患者さんの理解と協力を得ながら、発行率の向上に努めてまいります。  次に、二点目でございますが、都における処方オーダーシステムの早期導入についてのお尋ねですが、都立病院では、薬剤の処方オーダーシステムを導入することにより、わかりやすい処方せんの発行や、患者さんの待ち時間短縮に努めております。現在、このシステムについては、広尾病院など五病院で稼働中であり、平成十一年度には墨東病院と新たに開設をいたします豊島病院に導入する予定でございます。  また、システムを導入していない病院につきましても、院外処方せんを日本語でわかりやすく記入するよう徹底をするとともに、システムの早期導入に努めてまいります。  三点目は、医薬分業の円滑な推進方法についてのお尋ねでございますが、ご指摘のとおり、医薬分業を円滑に進め、患者さんに適切な医療を提供するためには、医療機関と薬局の連携を図ることが極めて重要であります。  このためには、医師会、歯科医師会、薬剤師会等の関係団体が一堂に会して協議することが必要であり、現在、検討会を設置して意見交換を行っているところであります。今後は、医薬分業を進める上での中核となる会議等を設置していきたいと考えております。  最後に、医薬品情報提供システムの整備についてのお尋ねでございますが、薬局が医薬品の相談や服薬指導を行っていくためには、副作用等に関する正確な医薬品情報を有していることが必要であります。  このため、現在、国が実施している医薬品等安全性情報報告制度や東京都医薬品情報の発行などを通じまして、薬局に副作用等の情報を提供しております。今後は、国や関係団体との適切な役割分担のもとに、これらの施策を含め、一層有効な医薬品情報提供システムのあり方について検討をしてまいります。      ───────────── ◯副議長(前島信次郎君) 七十番藤沢志光君。    〔七十番藤沢志光君登壇〕    〔副議長退席、議長着席〕 ◯七十番(藤沢志光君) 私は、まず最初に、都民生活を真に豊かなものとするためにも、また、企業活動を支え、国内外の都市間競争を生き抜くためにも、東京の高コスト構造の是正が不可欠であるとの観点から質問をいたします。  一九八五年のプラザ合意以降の急速な円高の進行に伴い、生活面での内外価格差の解消と、生産面での高コスト構造の是正が我が国の重要な政策課題となって以来、今日まで十年余が経過をいたしました。同時に、この十年間は、バブル経済の荒波にもまれた激動の時代でもあり、私たちは、今なおその後遺症としての不良債権問題と、金融システム不安を背景とした戦後最悪の不況に悩まされているところであります。  この間、製造業における生産拠点の海外移転が進み、産業の空洞化が問題となる一方、バブル期に東京への集積が進みつつあった国際金融機能も、東京の高コスト構造を嫌い、香港やシンガポールにアジアの活動拠点を求めていったといわれています。  景気については、一部に底入れを感じさせる動きもあり、経済対策の効果もあらわれつつありますが、より一層手綱を緩めずに、完全回復に向けた取り組みを続けることが必要であります。こうした中で、私は、今後の持続的な繁栄を実現するには、我が国、そして東京の社会経済の底流にある高コスト構造の是正に取り組むことが不可欠であると考えております。  来るべき二十一世紀は、経済のグローバル化が進む中で、企業がみずから立地すべき国や都市を選ぶ時代であるといわれています。企業活動をより有効に展開し、より大きな収益を得るためには、どの国へ、そしてどの都市へ立地したらよいのか、企業の存続をかけて、これまで以上に厳しい評価が下されるものと考えられます。  また、少子高齢化の進行等による社会経済の成熟化が進むこととなれば、二十一世紀には、公共サービスにおける供給能力の過剰が生じ、高コスト構造に拍車がかかることも懸念されるところです。  二十一世紀に向けて、活力あるあすの東京を築き、都民生活をより豊かなものとしていくためには、高コスト構造の是正に取り組み、産業の空洞化を回避しなければなりません。もとより、高コスト構造を是正するためには、税制や規制などの諸制度の改革や商慣行の見直しなど、一地方自治体だけでなく、国を挙げて、官民を挙げての取り組みが必要であります。しかし、企業活動を支える都市基盤の整備や都市経営を担う立場から、都として取り組むべきことも少なくないものと考えられますが、これまでは何ら有効な手だてが講じられてこなかったのではないでしょうか。  そこでお伺いをいたします。知事は、東京の高コスト構造についてどのような認識をお持ちか、お尋ねをいたします。  次に、高コスト構造の問題が指摘されて久しいところですが、都としては、その是正に向けてどのような取り組みをしてきたのでしょうか。また、激しさを増す国内外の都市間競争に対し、都はどのように対応していくのか、所見をお伺いいたします。  次に、具体的な問題として、上下水道の高コスト構造についてお尋ねをいたします。  上下水道においては、それぞれ逓増型の料金体系を採用しており、大口使用者の料金負担は極めて重くなっております。水道料金での逓増度は、最高時で六・一倍、下水道料金では八倍でありましたが、現在までに水道は四・五倍に、下水道は四・四倍に緩和されました。しかし、それでも用水型産業においては、負担に耐え切れずに、都外へ転出を図るなどの大きな要因になっております。  下水道では、普及率概成一〇〇%を達成した今日でも、排水設備設置義務免除という措置を受け、水質汚濁防止法に基づく処理をした上で、河川へ直接放流し、下水道料金の負担なしで、辛うじて都内操業を続けている企業もあります。  近年、小口使用者の増加、大口使用者の減少という顕著な変化を見せておりますが、このことはまた、移転した大口使用者が従前負担していたコストが一般使用者に転嫁されることにもなり、長期にわたると、小口一般利用者の料金にさえ過大な負担がかかる構造になっております。両料金とも受益に応じた負担を原則とするものでありますが、現在の水準を続けていくと、負担の公平性といった問題にも及ぶとともに、不況の中で一層商品コストの引き下げを求められている企業にとっては、その負担が重くのしかかってしまいます。  こうした悪循環を断ち切り、東京が今後とも暮らしよく、商工業のバランスがとれた魅力と活力に満ちた都市として発展していくためには、公共サービスの高コスト構造についても、都は長期的な視点に立ち、施策の転換を図るべきと考えます。上下水道両局長のご所見を伺います。  次に、両局のコスト上昇の大きな要因になっていると思われる事業について伺います。  水道事業において、安定供給を確保していく上で重要な施策は、漏水防止対策とダム開発ではないかと思います。  戦後間もなく二〇%を超えていた漏水率は、漏水防止対策を積極的に進めてきた結果、現在では八%台まで低下していますが、漏水量は依然として膨大な量ではないかと考えられます。そこで、現在の漏水量はどのくらいか、また、料金の販売単価で試算するとどの程度の額になるのか、さらに、今後の漏水率低下の目標をあわせてお伺いいたします。  ことしは水源量が豊富で渇水の心配がないため、水道のありがたみをつい忘れがちになってしまいます。しかし、利根川上流では、現在もなお未完成ダムが幾つかあり、不安定水源を抱える都にとっては、一たび渇水になれば取水カットを受けることになることから、ダム開発を推進していく必要があります。そこで、ダム開発には多くの時間と費用を費やすと思いますが、その進捗状況と都の負担総額を伺います。  大都市の都市基盤施設の整備、運用には莫大な経費が必要であり、今後とも安定給水を確保するためには、高コストを抑制することが急務であります。そこで、都はどのような施策を講じようと考えるのか、所見を伺います。  次に、下水道事業について伺います。  区部下水道は、既に普及率一〇〇%に達し、今後、老朽化した下水道施設の再構築事業のウエートが高まってくると考えられます。事実、今財政計画では、総額六千九百億円のうち、再構築事業費はその約四分の一を占め、年々増加の傾向にあります。これらの建設事業は、現在約二兆八千五百億円の企業債未償還残高を増加させる一つの要因となるおそれもあり、ますます東京の高コスト構造を助長し、都民への負担増が危惧されます。そこで、都民負担を軽減するため、下水道事業の効率化を進める必要があると考えますが、ご所見を伺います。  下水道の建設財源は企業債と国庫補助金がそのほとんどを占めています。国庫補助金について見ると、補助対象の基準が東京と一般市との間に大きな格差があります。下水道管渠の例でいうと、一般市では管径六〇センチメートル以上が補助対象になるのに、東京では管径三・五メートル以上でないと補助対象となりません。  このように、下水道事業の財源確保の状況一つをとってみても、東京には不利な条件となり、東京の高コスト構造の要因の一つをなしています。今後とも、下水道の役割と機能を維持していくためには、再構築事業を初め下水道事業の実施が不可欠でありますが、コストを抑制する上でも、良質財源としての国庫補助金の確保がこれまで以上に重要であると考えます。そこで、現在、国に対して、再構築事業への補助拡大や大都市と一般市との格差是正などについて、どのような要望活動を行い、どのような見通しを持っているのか、伺います。  次に、税制について伺います。  先月、学識経験者等で構成する大都市税制研究会から、環境と自動車税制のあり方についての答申が出されました。答申は、東京の深刻な大気汚染の状況を踏まえ、自動車排出ガスの低減化を図るための施策の一つとして、現行の自動車税制を環境に配慮する視点から見直す必要があるとするとともに、都としても、現行税制の枠組みの中で、課税自主権を行使し、低公害車に対する自動車税を軽減する一方、環境負荷の高い自動車に対し重課すること等を提案しております。  健康で豊かな都民生活を実現していく上で欠かすことのできない地域環境という課題に、課税自主権を活用して積極的に取り組んでいくことは、時代を先取りした試みであり、地方分権推進の視点からも、大変意義深いものであります。答申を具体化するに当たっては、対象となる自動車の基準づくりなど、なお解決すべき課題もあると伺っておりますが、低公害車の普及促進のための手法として、税制に大きな期待が寄せられていること等を踏まえると、できる限り早期にその実現を図ることが望まれます。  また、政策効果を高めるためには、近隣県との連携も不可欠であると考えますが、都はどのように取り組んでいくつもりか、知事のご所見を伺います。  さて、地方分権を推進していくためには、課税自主権の尊重とともに、自主税源の充実確保が不可欠であります。現在、国と地方の歳出規模は一対二であるのに対し、税収規模は二対一、我が国の高度成長を支えてきた社会経済システムが深刻な制度疲労を起こしている今、こうした国と地方の税源配分のあり方についても見直していく必要があります。また、景気変動等の影響を受けにくい安定的な地方税体系の構築も課題となっております。  今回の税制改正においては、たばこ税の国から地方への一部移譲、地方交付税の不交付団体をも対象とする地方特例交付金の創設など、大きな成果を得たところでありますが、二十一世紀に対応した地方税制を確立する観点から、都は、消費税率五%のうち二%相当額は地方消費税とするなど、国から地方への税源移譲に向けて、さらなる働きかけを行っていくべきと考えます。知事のご所見を伺います。  また、税源移譲により、地方消費税の充実を図っていく場合には、現行の消費税の問題点についても目を向けていく必要があります。現在、消費税は、消費税込みの価格を表示する内税方式か、消費税を含まない価格を表示する外税方式かを事業者が選択できることとされており、外税方式が主流となっております。  ところで、ガソリンの小売価格は、現在、一リットル当たり約百円程度。このうちガソリン税が五十四円、五割以上を占めております。しかしながら、このガソリン税が消費者の大きな批判を浴びることはそれほどありません。一方、代金を支払う段階で、価格に上乗せされる五%の消費税については五円と、ガソリン税と比べると少額ですが、大きな負担感となって消費者にのしかかってまいります。ヨーロッパ諸国においては、付加価値税はほとんど内税方式となっております。今後、少子高齢社会に向け、消費税の一層の定着を図るためには、付加価値税の長い歴史を持つヨーロッパ諸国の例を参考にしていくことも重要であると考えますが、所見を伺います。  以上で私の質問を終わります。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 藤沢志光議員のご質問にお答え申し上げます。  まず、東京の高コスト構造に対する認識についてお尋ねがございました。  生活費全体の内外価格差を例にとってみた場合、近年のデフレ傾向の中にあっても、なおニューヨーク等の世界主要都市との比較におきまして、依然として東京が一割から三割程度高い水準になっているということでございます。  都民生活を豊かにし、企業活動を支えてまいります上で、高コスト構造の是正は重要な視点でございまして、都としても、都市構造の再編や建設コストの縮減などを通じまして、その是正に寄与していかなければならないと考えているところでございます。  次に、環境と自動車税制のあり方についてご言及がございました。  地域環境の改善を促進してまいりますためには、税制を活用していくということも一つの大変有効な手だてであると、ご指摘のように私も感じておる次第でございます。  都といたしましては、大都市税制研究会の答申の趣旨も尊重いたしまして、できるだけ早期に実現できるよう検討してまいりたいと考えているところでございます。  また、ご指摘を踏まえまして、政策効果を高める観点から、近隣県へも働きかけていくということも一体となって努めていけば、効率は余計上がるであろうというふうに考えております。  続きまして、国から地方への税源移譲についてご言及がございました。  地方分権を推進してまいりますためには、地方税の充実確保を図りますとともに、税収の安定性を備えた地方税体系の構築を図ることが不可欠なことでございまして、このことにつきましては、ずうっと国に要請を続けてまいったりしているわけでございます。  このために、都は、これまでも消費税等、特に国と地方税のかかわり合いにつきましては、税源移譲につきまして熱心に要望を続けてきたところでございます。今後とも、都議会の皆さん方のご協力も得ながら、全力で取り組んでまいらなきゃならない課題と考えております。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁させていただきます。    〔政策報道室長佐々木克己君登壇〕 ◯政策報道室長(佐々木克己君) 東京の高コスト構造に関連しまして、二点お答えいたします。  まず、東京の高コスト構造の是正に向けた都の対応についてのお尋ねでございます。  都といたしましては、都民生活の利便性を向上させるために、また企業活動の効率化を図るために、道路や公共交通網の整備あるいは都市構造の再編に力を注いでおります。例えば、環状八号線の井荻トンネルの開通では、年間二百億円に相当する時間短縮などの経済効果が上がるものというふうに試算されております。  また、このほかに、設計段階での工夫などによりまして、都みずからも建設コストの縮減に鋭意取り組んでいるところでございます。  それから、国内外の都市間競争への対応についてのお尋ねでございますが、東京のエリアを日常生活圏や経済活動面で一体をなす六十キロメートル圏としてとらえますと、この地域は人口が三千万人を超える世界最大規模の巨大都市圏を形成しておりまして、その経済規模も優にイギリス一国にも匹敵するほどの大きさになってまいります。  したがいまして、都としては、近隣県とも連携しまして、広域自治体としての役割を果たすことはもとよりでございますけれども、日本の首都として、また日本経済の牽引役として、東京が有します、この巨大かつ多様な蓄積を生かしながら、広い視野のもとに、現在のこの競争の時代に対応していかなければならない、このように認識しているところでございます。    〔水道局長赤川正和君登壇〕 ◯水道局長(赤川正和君) 水道事業に関する四点のご質問にお答えいたします。  初めに、水道料金における長期的な視点に立った施策の転換についてのお尋ねですが、水道料金は、受益者負担を原則としつつ、生活用水に対する配慮や、水需要の抑制の観点などから、逓増型料金体系を採用しております。今後の水需要構造や社会状況の変化を踏まえ、ご指摘にもあるように、負担の公平の観点から、料金体系のあり方を含め、料金の算定、徴収などの制度全般について、長期的な視点に立って幅広く検討してまいります。  次に、漏水防止対策などについてのお尋ねですが、まず、漏水量は、平成九年度で年間約一億四千百万立方メートルとなっております。これを平成九年度の販売単価で試算いたしますと、約三百八億円に相当することになります。  今後の漏水率低下の目標については、当面、七%台の達成に向けて全力を挙げて取り組んでいくとともに、将来目標をさらに五%台に掲げ、これを達成していくため、老朽化した配水管の取りかえと給水管の材質改善など、総合的な漏水防止対策を引き続き推進してまいります。  次に、水源開発の進捗状況などについてのお尋ねですが、利根川及び荒川における水源開発は、平成十二年度を目標とする通称第四次フルプランにより進められております。現在開発中の水源施設の中には、進捗率が五〇%に満たないものが多くあり、建設に長期間を要しているものと認識しております。これらの水源施設にかかわる都の負担総額のうち、水道事業関連分は、現時点では約二千三百十億円と見込まれております。  最後に、コスト抑制についてのお尋ねですが、水道局では、これまで、コスト抑制を図るため、職員定数の大幅な削減を初めとする厳しい内部努力に努めてまいりました。今後とも、徹底した内部努力に加え、新技術の導入などによる水道工事コストの縮減や契約方法の見直しによる競争性の一層の発揮など、創意工夫を凝らした施策を行っていくほか、PFIのモデル導入など、新しい経営手法を積極的に取り入れ、コストの抑制に一層努めてまいります。    〔下水道局長鈴木章君登壇〕 ◯下水道局長(鈴木章君) 下水道に関する三点のご質問にお答えいたします。  まず、下水道サービスの高コスト構造について、施策の転換を図るべきとのお尋ねでございますが、これまでも、都民の負担増を抑制するため、さまざまな企業努力を重ね、コストの縮減に努めてまいりました。  また、本年六月から改定した下水道料金体系におきましては、近年の水需要構造の変化を踏まえ、個別原価の重視を基本に、小口から大口使用者それぞれの使用の態様に応じて、適正に原価を配賦し、料率を設定したところでございます。今後とも、ご指摘の点に留意しつつ、コスト全体の抑制に最大限努力するとともに、水需要動向などを十分に見きわめ、適切に対処してまいります。  次に、下水道事業の効率化についてのお尋ねでございますが、現行の財政計画におきましては、後年度負担の増加を可能な限り回避するため、老朽化した施設の再構築や浸水対策、高度処理などの事業につきまして、その必要性、緊急性、優先度を踏まえ、より重点化を図り、前財政計画に比べ、投資水準を二六%抑制したところであります。  また、建設コストの縮減を徹底するとともに、非開削工法等の新技術の採用拡大による維持管理経費の削減や、施設の上部利用等の資産の有効活用による収益確保などにも取り組んでいくこととしました。今後、この計画を着実に実施していくことによりまして、下水道事業の運営全般にわたり、より一層の効率化を図ってまいります。  次に、国の補助制度の拡大等についてのお尋ねでございますが、コストを抑制するためには、国庫補助金の確保が極めて重要でございます。そのため、これまでも、補助採択基準の新たな設定やその緩和、並びに必要な国庫補助金の措置について、国に対し要望活動を続けてきたところでございます。  その成果の一つとして、このたび再構築事業につきまして、運用上、補助採択基準が緩和されることとなりました。今後とも、国庫補助金の確保につきまして、あらゆる機会を通じて粘り強く国に要望してまいります。    〔主税局長大塚俊郎君登壇〕 ◯主税局長(大塚俊郎君) 消費税のあり方についてのお尋ねでございますが、消費税に対する都民の理解を深め、より一層の定着を図っていくためには、現行消費税の抱える課題につきまして、さまざまな角度から十分論議を尽くしていくことが大切でございまして、ご指摘の内税方式につきましても一つの課題であると考えております。      ─────────────
    ◯議長(田中晃三君) 六十九番樺山卓司君。    〔六十九番樺山卓司君登壇〕 ◯六十九番(樺山卓司君) 都立高校の国旗と国歌の取り扱いに関する問題と、青島知事の政治姿勢について伺います。  文部省は、去る十月十五日、ことし春の全国の公立小・中・高等学校における入学式及び卒業式での国旗の掲揚と国歌の斉唱に関する調査の結果を発表いたしました。この調査は、現行学習指導要領で国旗、国歌の指導が義務づけられて以来、七回目となるものであります。  それによりますと、その総合実施率は、平成七年春の前回調査より、国旗では〇・三ポイント、国歌では二・七ポイントそれぞれアップして、過去最高となったようであります。実施率が国旗、国歌とも小・中・高とすべてが一〇〇%だった都道府県は、岩手、岐阜、滋賀、福岡、沖縄などの二十四県で、前回よりも一県の増加であります。  翻って我が東京都では、小学校の卒業式での国旗の掲揚が九八・九%、国歌の斉唱が八五・八%、中学校ではそれぞれ九九・四%と八五・三%、また入学式でもほぼ同様で、押しなべて順当な結果が出ているようであります。  しかし、驚くべきことに、都立高校になると突然状況が一変し、卒業式での国旗の掲揚率が八四%であることはさておいて、国歌についてはわずかに三・九%、入学式に至っては三・四%と、全二百七校のうち、わずか七校で実施しているにすぎず、全国平均の八〇・三%、ちなみにお隣の千葉県の九三・二%等と比べ、異常に低い実施率に低迷をいたしております。  本年第一回定例会で同僚の鈴木一光議員からの指摘にもあるとおり、日本の首都であり国際都市でもある東京において、子供たちが、自国はもちろんのこと、すべての国の国旗や国歌に敬意の念を表する態度を育てることは、学校教育の最も基本かつ重要な責務であって、むしろその正しい指導を受けることは、生徒にとっては大切な権利とでもいうべきことであります。そんな高校生が、特定の人々のかたくなな思想教育のもとに、当然の権利である国旗、国歌についての正しい指導を受けることのできないという現実は、教育の自由、公正、公平という基本的なあり方に対する重大な侵害であるといっても過言ではありません。  過去、世界の著名なデザイナーが、世界のグッドデザインは何かとの問いに、日の丸と答えたことのいかに多かったことか。また、世界の大半の国がみずからの国歌に軍歌そのものか、もしくは極めて好戦的な歌詞と旋律を採用して、いたずらに軍事力で国民を鼓舞する傾向の強い中、世界に類例を見ない穏やかな旋律で、あくまでも平和と安定を希求する君が代は、私たち日本国民にとって胸を張って誇るべき国歌であります。  戦後五十三年、いまだにこの日の丸、君が代に対して過去の感情のみを重複させ、特別の思いでしかとらえることができないという人々がいるとするならば、失礼でありますが、それこそが頑迷な保守であり反動であるという事実認識に立つべきであります。既に日の丸と君が代は、平和日本の象徴であり、すべての日本国民の不戦への誓いの象徴であります。  そこで、質問をいたします。  都内公立小中学校や他県の公立高校に比べ、都立高校での国歌の斉唱率が格段に低いそのわけと、国旗の掲揚、国歌の斉唱に関する学校長の役割と権限、さらに、平成十年度の入学式で国歌の斉唱が実施されている、正常で立派な都立高校が七校あると聞いておりますけれども、それはどこの高校か、その校名と、これらの学校で国歌の斉唱が実施できているそのわけ。あわせて、都教育委員会が今年度都立学校の管理運営規則を改正し、職員会議の位置づけなど学校長のリーダーシップを発揮しやすくしたことは、遅きに失したとはいえ、高く評価するものでありますが、そこで今後、国旗の掲揚、国歌の斉唱が困難な学校の校長に対して、教育委員会はどのような指導と援助をしていくおつもりかお伺いして、次の質問に移ります。  青島知事の政治姿勢について伺います。  既成政党に対する不信感と変化を求める都民の圧倒的な支持を背景に、東京都知事の座を得られてはや三年八カ月、いよいよ任期まで余すところ四カ月と迫った今、知事の脳裏を去来するものは一体何でありましょうか。再選後の確固たるビジョンか、はたまた二十一世紀の都政に向けたアクティビティーな闘志か、それとも全く何もないのか。いずれにせよ、任期は刻々と迫り、選挙は目前となりました。  しかし、この定例会でも依然として知事はその去就をお述べになりません。辛うじて、去る十一月六日の定例会見で、共産党系の候補者が決まったことに関する質疑の最中に、みずからの進退を決める時期を問われて、ぎりぎりでいいのではないか、あるいは、やるなら前回と同じようにやりたいなどと述べ、再選にあたかも意欲ありげなポーズをとってはおられますが、しかし、一貫したトーンは、それ以前もそれ以降もこの種の質問には極めて慎重な対応に終始し、絶対に本心を見せまいとするかたくなな姿勢ばかりが際立ち、知事みずからの公約である、隠し事のない都政に全く逆行する現実を露呈いたしております。  申すまでもなく、都政は今、未曾有の財政危機に直面し、知事みずから財政非常事態宣言を発令して、一千二百万都民にその窮状を訴え、その立て直しのための協力を強く求めておられます。そのような現実に立ち向かっている東京都の最高指導者、最高責任者が、四カ月後に差し迫ったみずからの進退を全く明らかにせず、本当のところ、やる気があるのかないのか判然としないというのでは、金がないから協力してくれと一方的に我慢を強いられる都民にすれば、たまったものではありません。  今あなたに必要なのは、もし再選出馬という前提に立ったならば、あなた自身の歌にもある、黙っておれについてこいという強いリーダーシップであり、もしそうでないのならば、任期までは頑張るが、後のことは後任に託すという潔さを早い機会にお述べになることであります。  戦後の歴代知事の、勇退時を除く次期選挙に向けての対応も、あの社会党と共産党の主導権争いの泥沼にもまれて、ぎりぎりの表明となった昭和五十年の美濃部都知事の三選時の場合を除いて、安井、東、鈴木と、いずれの知事も、都政を預かるという重大な責任のもとに、年内には知事選挙に向けての強い意思を表明され、知事の重みの何たるかをはっきりと示されたのであります。それは、就任以来四年間、そして現在までの実績に対する強い自信を背景に、次なる任期はもっと頑張るぞという明確な意思表示であったのであります。  しかし、残念ながら青島知事からは今もってその意思が示されず、そればかりか、翻って、それではこれまで三年八カ月の青島都政とは一体どんな都政だったんだろうと考えても、これまた確かな答えが出てまいりません。ドラスティックな変革と、お得意のちゃぶ台をひっくり返す都政を期待して青島幸男と書いた百七十万の都民の熱い思いは、物の見事に裏切られ、残るのは無念さとむなしさのみであります。それ以上に、責任が大きいとするならば、政治はだれがやってもだめなんだというあきらめを多くの都民に植えつけてしまったことでありましょう。  よく、あなたと大阪の横山ノック知事が比較をされます。いろんな見方があるようですが、一言で申せば、成績の残せないサラブレッドと北海道の挽曳競馬の輓馬の違いではないでしょうか。能力は別として、踏まれてもけられても、必死の形相で、あくまでも元気印で突き進む輓馬は横山ノック。片や、就任以来今日に至るまで、ああ、この人は元気な人だなあと思うことのついぞ一度もなかった青島知事。まさか、人間万事塞翁が馬と割り切っちゃっておられるのかどうかは知りませんけれども、今、私たちが必要としている東京都知事像は、ガラスの足のサラブレッドでもなければ、口先だけの有能なコピーライターでもありません。窮状に瀕した都政をぐいと立て直して、ただひたむきに、そして誤りのないように強力に引っ張ってくれる元気な知事であります。  重ねて申し上げますが、いよいよ任期のカウントダウンは始まりました。窮状に瀕した都政をこれからあなたに託すのか託さないのか。残り四カ月、同時に、あなたはどのような都政運営をもってこの任期を全うされるおつもりか。また、この時期に至って、なぜみずからの進退について明言をすることができないのか。その率直なご心境をぜひともお伺いをいたしたく存じます。  最後に、知事みずからがつくり上げて一世を風靡した、あの植木等扮する希代のヒーロー無責任一代男に、作者の知事ご自身が間違ってもはまることのないように心からお祈りをいたしまして、質問を閉じます。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 樺山卓司議員の元気なご質問にお答え申し上げます。  今後の都政運営について、まずお尋ねがございました。  私は、多くの方々の意見を伺いながら議論を重ねてまいります、民主主義のプロセスを大切にしながら今日までやってまいったわけでございまして、都民生活の感覚に即した都民のための都政改革を進めることを、都政運営に臨む第一の条件と考えております。今後ともこうした姿勢を貫く、たがえることなく、現在手がけております都政改革を進め、来るべき分権の時代にふさわしい仕組みを築いてまいりますよう努力を重ねてまいるつもりでございます。  それから、私の進退と心境について重ねてお尋ねがございました。  知事の使命というのは、いかなる状況、いかなる困難に立ち向かおうとも、都民の安全と幸せを守っていくという大使命があるということを将来にわたりまして守っていかなきゃならないということを肝に銘じているわけでございまして、私は現在、私の進退を云々するよりも、極めて厳しい経済情勢の中でも、限られた財源を重点的に配分し、都民の暮らしを守るための予算編成と新たな行政改革に全力で取り組んでいくべきであろうというふうに決意を固めている次第でございます。  なお、その他のご質問につきましては、局長、教育長から答弁を申し上げます。    〔教育長中島元彦君登壇〕 ◯教育長(中島元彦君) 国旗掲揚、国歌斉唱に関する四点のご質問にお答えを申し上げます。  まず、都立高校における国歌の斉唱率が低い理由についてのお尋ねでございますが、各校長は、これまで国旗掲揚及び国歌斉唱の実施に向けて努力を重ねており、その結果、国旗の掲揚率は高まってきたところでございます。  しかし、国歌斉唱につきましては、実施に強く反対する教員が多いため、校長は、式典での国旗の掲揚を優先し、国歌の斉唱を見送らざるを得ないという状況がございます。このため、国旗の掲揚率に比べ国歌の斉唱率が低くなっているものと受けとめております。  次に、校長の役割と権限についてのお尋ねでございますが、校長の職務は、学校教育法第二十八条に「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」と規定されておりまして、校長は、学習指導要領に基づき、国旗掲揚、国歌斉唱を実施することとなっております。  次に、国歌斉唱を実施している都立高校についてのお尋ねでございますが、平成十年度入学式において国歌の斉唱を実施した都立高校は、芸術高校、上野忍岡高校、蔵前工業高校、大島南高校、新島高校、神津高校、小笠原高校の七校であります。これらの学校で国歌斉唱が実施できているのは、歴代校長の並々ならぬ努力の結果であり、また、教職員の協力や地域の支援が得られているためでもあると理解をしております。  次に、未実施校の校長に対する今後の指導や援助についてのお尋ねでございますが、都教育委員会は、今回の文部省調査の結果を踏まえ、国旗掲揚、国歌斉唱の実施に向けて、この十一月に新たな指針を示したところでございます。今後とも、学習指導要領に基づき、各学校が国旗の掲揚に加え国歌の斉唱が実施できるよう、学校の実情に即して、個別に粘り強く指導、助言をしてまいります。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 三十番西条庄治君。    〔三十番西条庄治君登壇〕    〔議長退席、副議長着席〕 ◯三十番(西条庄治君) まず最初に、昨日の質問で各党も触れておられた都市計画税については、多くの都民が関心を寄せておられることから、私からも一言申し上げることにいたします。  二百平方メートル以下の小規模住宅用地に関する都市計画税については、従来二分の一の軽減措置がとられてきたところでありますが、昨年、この期限切れに当たり、議会や都民の強い要望を受けて、都知事あなたは、本年については軽減措置を継続してきたところであります。平成十一年を迎えるに当たり、今またこの問題が都民の関心を大きく寄せるところとなっています。  政府は、来年度の税制改正に当たり、現下の景気に最大の配慮をし、減税を模索こそすれ、増税をできる状況下ではありません。景気回復は、ひとり国だけの課題ではなく、国、地方共通の政策課題であり、両者が整合性のある政策を推進しなければ、その実効性は到底望めません。  この制度は、昭和六十三年に創設されて以来十一年が経過し、区部の宅地の七〇%が適用を受け、既に制度として定着をしてきているところであります。財政的視点にのみとらわれ、この制度を廃止し、増税が行われたときの一般家庭や零細事業者に与える経済的、心理的影響を考えると、景気回復に与える影響は甚大なものとなることは明らかであります。  そこで、我が党は、都民の多くの声をバックに、都市計画税の軽減措置を平成十一年度も引き続き継続するよう、この際東京都に強く求めて、答弁をいただきたいと思います。  次に、行政評価制度について伺います。  私は、平成八年度の決算特別委員会において、自動車優先の時代に多くが設置され、今日では利用者が激減してしまった歩道橋を例に挙げて、時代に合わなくなってしまったものは、維持費に多額の予算を費やさず、撤去等に取り組むべきだと申し上げました。その後、住民等の要望を受けて、都内で撤去した一例が出たと聞いております。  また、我が党の河合幹事長は、都市計画道路を例に挙げて、五十年たっても何ら手がつけられないものは、もはや計画ではないと指摘をし、長期間着工されていない事業などについては中止を含めて再評価する、いわゆる時のアセスメントを導入することを主張いたしました。  長良川河口堰や有明の干拓などの問題で国民の強い批判を受けて、当時の橋本総理は、建設省を初めとする六省庁に、再評価システムの導入や費用対効果分析の活用を指示をいたしました。  これを受けて各自治体には国庫補助事業を対象に再評価が求められましたが、都では、第三者で構成される事業評価委員会を設置し、建設局を初め六局が事業評価を行ったとのことであります。しかしながら、委員会に提出された区市町村分も含めた百六十三事業すべてが継続の対応方針であり、委員から疑問の声が出たと聞いております。  未曾有の長期化する景気の低迷による都税収入の落ち込みにより、財源不足は年々増大する一途であります。それぞれの局がおのおのの局内の事業評価をしていたのでは、何ら解決になりません。もはや、あれも、これもの時代は終わりました。あれか、これかの時代に向けた選択のときを迎えています。  一方、行政評価制度は時間の経過による公共事業の見直し問題だけではありません。政策を含め、都の事務事業全般について評価する必要があります。行革大綱の見直し方針では、行政評価制度を導入することとしていますが、本当に実効性あるものとするためには、結果の公表や第三者機関の評価による客観性の担保など、さまざまな課題があると思います。ぜひ都民が納得する行政評価制度にしていただきたいと考えます。  青島都知事、あなたの行った都市博中止は、事の是非はともかく、あなたにとっては臨海開発に対する時のアセスであったと私は思います。よって、行政各般にわたる時のアセス、行政評価制度の導入に向けた知事の決断を求め、お答えをいただきたいと思います。  さて、この十年間に定年退職した都の幹部職員のほぼ全員が、都の外郭団体や都と関係の深い民間企業の幹部として、いわゆる天下りをしているという情報があります。  国家公務員の場合は、在職中の仕事と関係の深い企業への再就職には一定の法的制限を設けており、人事院規則で禁止をされております。残念ながら、地方公務員の場合は、営業活動に従事しないという程度の指導をしていると聞いております。全国の自治体の頂点に立ち、その規範を示すべき東京都は、毅然とした措置をとるべきではないのか。青島知事の見解を伺うものであります。  もとより、都に在職中にはぐくんだ有為な人材や能力を、定年後も第二の職場で十二分に発揮をしていただくことは社会全体のプラスになることでありますから、一概に外郭団体に転出することをあしきことであると申し上げているわけではありません。しかしながら、第二の職場にまで都庁時代と同じ役員報酬が持ち込まれるような規定が外郭団体にあることを放置しておくのが問題なのであります。  これらの団体は、何らかの形で都の財政的援助を受けている。本体の都がこれだけ財政的に苦しんでいるからこそ、知事、あなたも期末手当をカットするまでの英断を下しているときに、これらのことを放置するのですか。右肩上がりの景気の順調な時期に形成されてしまったこれらのあしき慣行を、今こそ正すときであります。  しかしながら、行政がつくってしまった慣行であるがゆえに、行政機構の中からは、もはや正すことができないで今日に至ってしまったのです。このままでは、あるいは何らかの是正をしようとする仕組みを構築しなければ、決して改革はできないと私どもは思っております。  よって、私たち民主党は今、来年、法のもとに施行に入る外部監査に大きな関心を寄せております。諸般の事情で法の求める前に施行に入っている北海道と山梨県の例を調べてみますと、条例で明確に外郭団体を外部監査の対象に含めております。都もこれらの団体を見習い、条例にこれを明確に規定することを求め、さらに、初年度からこの天下りの問題に対応できるよう個別外部監査制度を導入することを知事に求め、お答えをいただきたいと思います。  次に、文京区の営団地下鉄丸ノ内線の茗荷谷駅前の再開発についてお尋ねをいたします。  本年の春、全面改築を終了した文京区の営団地下鉄茗荷谷駅周辺については、都の交通局の大塚自動車営業所や都の女子アパートが隣接をし、これらの用地を核にした優良な都市再開発の可能性が以前から叫ばれてきたところであります。  地元の文京区は、文京区総合計画及びその実施についての文京区実施計画の中で、茗荷谷駅前、教育の森公園周辺の整備を市街地整備の重点施策に位置づけ、都市計画に関する基本的な方針、まちづくりのガイドラインとしての都市マスタープランの策定に当たり、山の手の地域拠点として、茗荷谷駅周辺まちづくり基本計画をつくり、地区整備の基本方針を打ち出してきたところであります。周辺の住民は、既に平成三年に再開発の準備組合を発足させ、関係機関との調整や協議を忍耐強く続けてきております。  再開発事業は、関係権利者の合意形成などに多大の時間を費やすのが一般的であることは理解できますが、当地の場合、その間に放射八号線、いわゆる春日通りの拡幅に合わせ沿道が整備されていく中で、さらに、先ほど申し上げたように、同時並行で出発した茗荷谷駅の駅舎改築が既に立派に完了してしまった今、駅前だけが取り残されてしまった状態であることは否めません。準備組合が発足して既に七年が経過していることから、地元周辺住民がこれに費やしてきたエネルギーは今日まで膨大なものであり、その忍耐は限界に近づきつつあります。  交通局の大塚自動車営業所の土地は約八千四百平米もの用地であることから、この再開発事業の成否は、この土地を含めてできるかどうかにかかっていることは明白であり、東京都としても緊急に取り組まねばならぬ課題であり、責任は重大と考えております。  そこで、再開発の現在の進捗状況及び今後の見通しについて、まずお伺いをいたします。  そこで次に、この大塚自動車営業所用地についてさらにお尋ねをいたします。  都営バスは、住民の身近な交通手段として重要な役割を果たしていることはいうまでもありませんが、地下鉄十二号線環状部の平成十二年中の開業や、乗合バス事業の需給調整の撤廃が平成十三年度に予定されているなど、バス事業を取り巻く環境は厳しいものがあります。それだけに、一層の効率的な事業運営を推進し、営業所の適正配置や資産の有効活用を積極的に展開していかねばなりません。  平成九年二月に策定された東京都交通局後期総合計画-都営交通プラン'97によると、資産の有効活用について、自動車営業所等の局施設の積極的な利用方策を検討し、実施するとなっております。大塚自動車営業所を含む再開発は、まさにこの考えに沿っていると考えますが、茗荷谷駅に隣接した超一等地にある大塚自動車営業所の用地を今後どのように活用していく所存か、お尋ねをいたすものであります。  さらに、春日通りを隔てて隣接する都有地、大塚女子アパートの建てかえ計画との関連についても触れたいと思います。  私は、今年二月の決算特別委員会において、大塚女子アパートの建てかえについては、遅々として進まぬ茗荷谷駅前の再開発事業に固執することなく、周辺の都営住宅と連携して検討していく方途も考えるべきとご提案申し上げ、これも検討するとの答弁をいただいていますが、その後の建てかえに向けた取り組みがどのように進められているか、この際お尋ねをいたし、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 西条庄治議員のご質問にお答え申し上げます。  まず最初に、都市計画税の軽減措置についてお尋ねがございました。  現行の軽減措置につきましては、見直しが必要な状況にあると考えているところでございますが、平成十一年度は、納税者の税負担感などに配慮いたしまして、継続してまいりたいと考えているところでございます。  次に、行政評価制度についてご言及がございました。  行政評価制度は、政策や事務事業が都民にとってどのような成果があったかを検証し、見直しに反映させていくという筋合いのものでございまして、都民の期待にこたえる都政を実現するために必要な制度であろうかと考えております。  今回策定いたします新たな行政改革大綱の中で、その内容について明らかにし、客観的で的確な評価体制や手法等を含めまして、実効性のある行政評価制度の確立に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  続きまして、幹部職員の再就職についてご言及がございました。  確かに、地方公務員の場合は、ご指摘のとおり、国家公務員とは異なりまして、民間企業への再就職は法律によって規制されているというようなことはございません。しかしながら、都の退職者が、在職中に培った知識や経験を生かして再就職する場合、都と民間企業との間の関係を厳正に保ち、都民の皆さんからのご批判を受けないようにすることが極めて大切でございまして、このために都では、国の規定に準じて、独自に取扱基準というのを設けておりまして、退職後二年間は、退職前五年間に担当した職務に関連した営業活動をしてはならないというようなことでございます。  こうした指導を行っているわけでございますが、今後ともこの取扱基準を遵守するように関係者に徹底いたしまして、皆様方から疑いの目で見られるようなことのないように──向けて、検討してまいりたいと考えているところでございます。  なお、その他のご質問につきまして、関係局長から答弁させていただきます。    〔総務局長木宮進君登壇〕 ◯総務局長(木宮進君) 外郭団体を外部監査の対象とするように条例に明確に規定し、さらに個別外部監査制度も導入せよと、こういうお尋ねがございました。  いわゆる外郭団体を外部監査の対象とするかどうか、また、個別外部監査制度を導入するか否かにつきましては、地方公共団体の判断にゆだねられ、条例で定めることにより実施が可能となるわけでございます。都といたしましては、監査の透明性を高め、住民の監査に対する信頼性の向上を図る観点から、条例化について検討してまいります。    〔都市計画局長成戸寿彦君登壇〕 ◯都市計画局長(成戸寿彦君) 茗荷谷駅前の再開発の進捗状況などについてのお尋ねでございますが、現在、地元区が中心となりまして、都の関係局を含め、都市計画案作成に向けた検討を行っております。  当地区の事業は、交通局の営業所機能の確保を前提といたしまして、事業の採算性や地元の合意形成を図ることが課題であると考えております。  今後とも、春日通りの拡幅事業の進捗も勘案しつつ、早期に都市計画決定がなされますよう、地元区など関係機関との調整に努めてまいります。    〔交通局長横溝清俊君登壇〕 ◯交通局長(横溝清俊君) 大塚自動車営業所用地についてのお尋ねにお答えいたします。  交通局といたしましては、引き続きバス営業所としての機能を確保しつつ、局の財政基盤の強化を図り、あわせて都の施策及び地元のまちづくりに貢献するという基本的な考え方のもとに、本年五月に再開発準備組合に特別組合員として加入するなど、関係機関と協議を行ってきたところでございます。  今後とも、バス事業に支障を来さないことを前提として、事業の採算性、工事期間中の仮営業所の確保等の解決すべき課題について、関係各局及び地元区等と十分協議を行ってまいります。    〔住宅局長英辰次郎君登壇〕 ◯住宅局長(英辰次郎君) 大塚女子アパートの建てかえに向けた取り組みについてのお尋ねでございます。  建てかえを進めていくためには、仮移転用の住宅の確保が必要なことから、現在、文京区内の都営住宅の活用を初めといたしまして、周辺区の都営住宅も含め、具体的な検討を進めてございます。  また、近接する再開発事業における住宅確保の可能性につきましても、関係機関と協議しているところでございます。引き続き、建てかえの推進に向け幅広い検討を重ねてまいります。 ◯副議長(前島信次郎君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。    午後三時十七分休憩      ━━━━━━━━━━
       午後三時四十二分開議 ◯議長(田中晃三君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  質問を続行いたします。  百四番村松みえ子さん。    〔百四番村松みえ子君登壇〕 ◯百四番(村松みえ子君) まず、多摩格差是正の問題です。  多摩地域の住民は、これまで長い間、同じ都民でありながら、福祉や教育などあらゆる分野で、二十三区の住民と比べて立ちおくれた施策に甘んじてきました。それは、東京都が責任を負うべき仕事を棚上げしてきたことに加え、多摩の市町村の財政力が弱いために、二十三区と比べて施策が立ちおくれる傾向があるにもかかわらず、都の支援が極めて不十分だからです。  多摩都民の強い要望の一つである文化施設、スポーツ施設は、都が区部には新美術館や芸術劇場、屋内水泳場など幾つもの施設を相次いで建設したのに対して、多摩地域は計画が先送りされ、いまだに一つもつくられていません。都立病院や保健所なども、都内と比べて大きく立ちおくれております。産業振興の拠点となる中小企業振興センターの計画もたなざらしされたままです。  知事、中小企業センターを一日も早く多摩地域に建設して、不況と産業構造変化のもとで必死で生き残りを図っている多摩地域の中小企業の切なる願いにこたえるべきではありませんか。答弁を求めます。  都民生活にとって欠くことのできない福祉や教育の分野の立ちおくれは、さらに切実です。都民が拡充を願っている乳幼児医療費助成についていえば、対象年齢は、区部では八割が就学前までに拡充されているのに、多摩地域ではいまだにどの自治体も実現できていません。所得制限に至っては、区部では半数以上が制限なしなのに対し、多摩地域では、ゼロ歳、一歳で実現している一部の市を除いては、ほとんど所得制限がつけられております。  二十三区から転居してきたあるお母さんは、今まで当たり前に受けられていた乳幼児の医療の助成が受けられないと驚き、同じ東京に住んでいてどうしてこんなに違うのと、相談に見えました。子育て世帯は、一定の収入があっても、住宅ローンや教育費など、家計は大変で、深刻な不況がそれに追い打ちをかけています。子どもたちを健やかに育てる上で、住んでいる地域によって乳幼児医療助成制度に大きな格差があり、場合によっては必要な医療が受けられないなどということがあってはなりません。市長会が繰り返し都の支援を要望しているのは、至極当然です。  知事は、昨年の予算特別委員会で、私の質問に対し、格差が生じないように努めていくと答えました。だとしたら、子育てに努めているお母さんの願いになぜこたえようとしないのですか。答弁を求めます。  中学校給食の格差も、多摩地域の親の悩みの一つです。区部では九九%の中学校で完全給食が実施されておりますが、多摩では完全給食の学校は半分に満たず、お弁当をつくれない家庭では、お弁当を買わせなければなりません。このため、登校時に学校の近くのコンビニが中学生でいっぱいになるという話もあります。市町村が中学校給食をやりたくても、なかなか踏み切れないのは、設備や運営費など財政負担が重いからです。  そもそもこのような格差が生まれるのは、二十三区と比べ多摩は人口が二対一に対し、法人事業税の収入は十対一と、十倍も差が開いているように、財政力に格差があるからです。しかも、多摩の自治体は、都心に通う都民のベッドタウンとして、その基盤整備などの課題が山積みとなっており、幾らお金があっても足りないという状況です。都は、自治体の財政力の違いで生まれる都民施策の格差を少しでも是正する責任があるのではありませんか。  知事、このような子どもたちの生活にかかわる施策に生まれている格差を放置していてよいのでしょうか。せめて、中学校給食をやる意思がある市町村に対して支援するべきではありませんか。答弁を求めます。  社会変化に伴って、さまざまな行政課題が生まれ、自治体はその解決に迫られます。その一つが清掃工場のダイオキシン対策です。国は、二〇〇二年を目標に、ダイオキシンの削減計画を立て、焼却施設の改修を義務づけました。既に東京都は清掃工場の緊急対策を進め、二〇〇二年までに既存の清掃工場の恒久対策の工事を終わらせるとしていますが、多摩の各自治体は、多額な財政負担をどうするかと苦悩しております。それは、ダイオキシン対策での都の補助が、経費のほんの一部にすぎないからです。国分寺市の場合、二十四億二千万円のうち、国の補助が十一億円で、都の補助はわずか四千七百万円、全体の経費の二%にすぎません。  ダイオキシン類それ自体、人体に多大な悪影響を与えるものですが、環境ホルモンの原因物質の一つでもあり、その対策は緊急です。都が直接責任を負う二十三区の工場だけは急いで改修するが、多摩はわずかな援助だけで済ませるというのでは、本気でダイオキシン対策に取り組んでいるとはいえないのではありませんか。特別な支援が必要だと思いますが、見解を伺います。  多摩地域で先進的に取り組まれている、ミニバスなどの公共交通の整備も新たな課題です。私の住む日野市でも大変喜ばれております。多摩地域は、二十三区と比べて交通不便地域がたくさん残されており、ミニバスによる域内交通への支援、人に優しい乗り物といわれるLRTによる南北交通など、新しい公共交通網整備に都が積極的に乗り出すことが必要です。見解を伺います。  また、最近一部開通した多摩モノレールでも、シルバーパスや障害者無料パスが使えるようにすることも切実な要望となっております。多摩モノレールを本当に多摩都民の足として定着させる上でも、高齢者、障害者にも多摩格差が及ばないようにするためにも、対策が必要です。実際に、モノレールが開通したために、二つのバス路線が廃止されたことから、これまでバスを使っていたお年寄りが、シルバーパスを使えなくて困っています。二十三区では、バスでも地下鉄でも不自由を感じないでシルバーパスが使えるのに、多摩では、シルバーパスをもらっても、使えるのはバス路線だけです。  知事、多摩モノレールは都の事業として建設されたものです。モノレールが多摩都民の生活に欠かせない交通機関だというのなら、都民の切実な要望にこたえて、シルバーパスを使えるようにするのが自然ではありませんか。多摩都民の、シルバーパスを多摩モノレールでも使えるようにという切なる願いにこたえるよう、強く要望いたします。  新たな行政の課題として、介護保険の問題があります。既に市長会では、介護保険制度導入に当たって、少なくともこれまでの施策の水準を維持しようとすれば、市は多大な支出を抱えることになるとして、国や都に支援を求めています。  都には、市町村の財政を支援する仕組みとして、調整交付金と振興交付金制度がありますが、知事は拡充するどころか削減してきました。調整交付金は、ピーク時の九三年から一方的に毎年十億円ずつ削減され、振興交付金と合わせて実質的に二百四十九億円も削減しています。知事は、財政が苦しいからといいわけをするかもしれませんが、特別区の都市計画交付金は、九五年から十一億円引き上げて、三十一億円も上積みしてあげているではありませんか。  先日、多摩の市長会は、国や都の財政支援を求める財政緊急アピールを発表しました。まさに非常事態です。知事、この市町村の苦しみに少しでも手を差し伸べることこそがあなたの仕事ではありませんか。市町村への交付金の役割を後退させるのではなく、むしろ、介護保険など新たな行政需要に対応できるように拡充すべきです。また、市町村が起債の高い利子に苦しんでいるときに、これを少しでも軽減するために、市長会の強い要望である起債の繰り上げ償還や低利子のものへの借りかえを認めるよう国に求めるとともに、特に財政力の弱い団体に対しては、都が無利子で貸し付けるなどの新たな支援策をぜひ検討していただきたいと思います。あわせて答弁を求めます。  東京都はかつて、多摩格差是正の八課題を設定して、格差是正に取り組んできた歴史があります。二十一世紀に向けて多摩地域の格差をなくし、多摩の振興のための施策を進めるための新たな指標を設定することを要望します。見解を伺います。  次に、緑の問題です。  都市開発が進み、身近な緑が失われており、緑を保全するための対策が急がれています。ところが、青島知事が発表した改訂重点計画を見て、私は本当にがっかりしました。というのは、この計画の事業一覧を見ると、都心部の整備とか広域的交通基盤整備などとあわせた市街地整備とか、区部環状、多摩南北方向を重視した幹線道路網の整備など、東京を鉄とコンクリートに変えてしまう大型開発の計画は並んではいても、環境行政の柱となる緑の問題は掲げられていないからです。  東京の緑は、開発優先の行政で次々と奪われてきました。私の住む日野市でも、百草山など多摩丘陵の自然が喜ばれて、都心と比べればまだまだ残されている自然があるということで、移り住んでくる人々も少なくありません。これは、日野市がこの貴重な自然を残そうと毎年公有化を進めて保存に努めているからです。しかし、市の限られた財政では、開発の圧力には追いつきません。都が市町村と一体になって保存に努めることがどうしても必要です。  ところが都は、都の保存樹林公有化貸付資金を、財政難だといって、来年度で廃止することを一方的に決めました。都は廃止の理由として、利用が減っていることを挙げておりますが、貸付利息が市中金利よりも高いというのが大きな原因で、区市町村側からすれば、少しでも安い資金があれば、そちらを使うのは当たり前です。もともとこの貸付資金の原資は一般財源によって賄われております。銀行でもないのに高い利息をつけて、区市町村が高くて借りられないような仕組みにしていること自身が間違いです。緑を本気で守ろうとしていないことの証明ではありませんか。  日野市は、都のアンケートに答えて、日野市の緑を保存することは東京都の緑を保存することであるので無利子にしてほしいという要望を出しました。知事、一度失った緑や自然は簡単には取り戻せません。市町村に貸すのに、なぜ高い利子を取るのですか。無利子にしたっていいではありませんか。実際に、都は首都高速道路公団には無利子で貸し付けているではありませんか。財政的に大変厳しい中頑張っている区市町村の、緑を守りたいという切なる願いに、なぜこたえようとしないのですか。見解を求めます。  また、都の都市開発行政によって、貴重な緑と自然が奪われていくことは重大です。東の臨海、西の秋留台といわれた秋留台開発計画は、希少動物のオオタカを初め、オオムラサキ、トウキョウオオサンショウウオなど、貴重な動植物が生息している、都民にとってかけがえのない空間を開発するものです。しかも、この地域は、都が丘陵地の緑の保全を目的として作成した、みどりのフィンガープランの対象地域に入っていますが、これらの開発計画が優先されることで、このフィンガープランそのものが台なしにされ、貴重な自然が破壊されてしまうおそれがあります。こうした開発の結果、一万七千ヘクタールの丘陵地の三五%が開発され、無残な姿をさらしているところも少なくありません。  秋留台以外にも、ハイテク研究団地が予定されている八王子の天合峰、都の土地区画整理が進められている稲城市の坂浜・平尾地域など、開発計画にいとまがありません。都民の食卓を守り、緑を提供している農地も、実効性のある支援がないために、住宅などに利用目的が変わっています。  知事、東京の緑を守る気があるのなら、まず第一に、東京都の都市計画に緑の保全をしっかりと位置づけ、都市計画自体が緑にどのような影響を与えるのかを全庁的に調査する計画アセスメントを行い、都市計画のあり方を根本から見直すことが不可欠であると考えますが、どうか、知事の見解を伺い、質問を終わります。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 村松みえ子議員のご質問にお答え申し上げます。  多摩振興の施策を進めるための新たな指標の設定についてお尋ねがございました。  三多摩格差八課題につきましては、市町村とともにその是正に取り組み、一定の成果を上げてきたところであると考えております。  また、少子高齢化などの社会経済状況の変化に伴いまして、新たな行政課題が生じていることは承知をいたしておりますが、各市町村の状況によりまして、必ずしも共通のものとはなっていないというふうにも考えられます。  今後とも、市町村の意向を十分に考慮いたしまして、多摩地域の諸課題の解決に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、東京の緑を守るための都市計画のあり方についてお尋ねがございました。都では、既に緑のマスタープランを作成しておりまして、都市計画の基本方針であります整備、開発または保全の方針に位置づけまして、緑の保全と整備を図ってまいったところでございます。  今後とも、こうした基本方針にのっとりまして、自然環境の保全にも十分配慮した都市計画行政を進めてまいりたいと考えているところでございます。  なお、その他のご質問につきまして、関係局長から答弁をしてもらいます。    〔労働経済局長大関東支夫君登壇〕 ◯労働経済局長(大関東支夫君) 多摩地域における中小企業振興センターの設置についてのご質問にお答えいたします。  東京がバランスのとれた都市として発展していくためには、多摩地域の持つさまざまな地域特性を生かした産業振興が重要でございます。このため、多摩地域の中小企業の経営の安定や技術力の向上を図るための総合的な振興拠点となる多摩地域中小企業振興センターを、平成十四年度を目途に立川基地跡地に開設すべく、現在、鋭意検討を進めているところでございます。    〔福祉局長石川雅巳君登壇〕 ◯福祉局長(石川雅巳君) 乳幼児医療費助成についてでございますが、区市町村によって、対象年齢や所得制限額に違いがあることは承知しております。しかし、都の基準を上回る助成については、基礎的自治体である区市町村の独自の判断によるものと考えております。  今後とも、実施主体である区市町村と連携を図りつつ、円滑な事業運営に努めてまいります。    〔教育長中島元彦君登壇〕 ◯教育長(中島元彦君) 多摩地域の中学校給食への支援についてのお尋ねでございますが、公立中学校の学校給食の実施に当たっては、設置者である市町村がその経費を負担することとされております。  また、国は、学校給食の実施促進を図るため、開設に必要な施設等の整備に要する経費の一部を補助する制度を設けております。各設置者において、この制度を踏まえ、適切に対応すべきものと考えております。    〔清掃局長福永正通君登壇〕 ◯清掃局長(福永正通君) 多摩地域のダイオキシン対策に対する特別な支援についてのお尋ねでございますが、清掃事業は、市町村の固有事務でありまして、区部では、都が市町村の立場で実施をいたしております。  多摩地域のダイオキシン削減対策につきましては、現在、各市町村が平成十四年十一月までに恒久的対策を講ずるため、必要な施設改善に取り組んでおります。  都といたしましては、ダイオキシン削減対策の重要性にかんがみ、今年度、国に対し、補助制度の拡大を要望するとともに、既存の国及び都の施設整備補助に加え、ダイオキシン測定費用補助を実施し、財政的支援に努めております。  今後とも、多摩地域のダイオキシン削減対策の円滑な、かつ確実な推進のために、積極的に技術的支援等を行ってまいります。    〔都市計画局長成戸寿彦君登壇〕 ◯都市計画局長(成戸寿彦君) 多摩地域における公共交通網の整備についてのお尋ねでございますが、公共交通網の整備は、鉄道不便地域の解消や多摩自立都市圏の形成にとって、欠くことのできない重要な課題であると認識しております。  都は、こうした認識のもとで、多摩都市モノレールの整備を進め、先月末には、立川北-上北台間が開業したところでありますし、また、鉄道やモノレール等の主要な公共交通を補完するLRTにつきましては、東京のような大都市に導入する場合の諸課題等を検討しているところでございます。今後とも多摩地域の公共交通網の充実に努めてまいります。    〔総務局長木宮進君登壇〕 ◯総務局長(木宮進君) 二点のご質問にお答え申し上げます。  まず、調整交付金等の拡充についてのお尋ねでございますが、都はこれまでも、厳しい財政状況の中で、調整交付金等により市町村に対して一般財源の不足を補完し、財政支援を行ってきたところでございます。  今後、住民にとって身近な自治体である市町村においては、さまざまな行政需要にこたえていく必要があると十分に認識をいたしております。都といたしましては、引き続きこうした状況を勘案して、適切な財政支援に努めてまいります。  次に、市町村における許可債の繰り上げ償還、借りかえ及び無利子貸付支援策についてのお尋ねでございますが、資金運用部資金の繰り上げ償還や借りかえにつきましては、原資である郵便貯金の金利水準等への影響をもたらすこともあり、現在認められておりません。都といたしましては、国や他団体の動向を見きわめながら、適切に対処してまいります。    〔環境保全局長柿沼伸二君登壇〕 ◯環境保全局長(柿沼伸二君) 保存樹林地等公有化資金貸付制度についてのお尋ねにお答え申し上げます。  平成元年度に創設いたしました本制度の発足当初は、地価が高騰を続けておりまして、そうした中で活発な土地取引が行われ、しかも金利が非常に高いという時代状況にございました。その中で区市町村が簡便な手続と低金利で保存樹林地を公有化できる制度として、この制度は一定の役割を果たしてきたと、このように考えております。  しかしながら、本制度も、近年の厳しい財政状況や区市町村からの借り入れ希望の落ち込みなどから、ご指摘のように、平成十一年度をもって廃止することとしております。十二年度以降の対応につきましては、総合的な視点に立って、緑を守り育てる新たな制度について検討していきたいと、このように考えております。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 十七番藤井一君。    〔十七番藤井一君登壇〕    〔議長退席、副議長着席〕 ◯十七番(藤井一君) 初めに、平成十二年四月に導入されます介護保険制度について伺います。  私は、先月初め、介護保険制度について調査するため、我が党の調査団の一員としてドイツのベルリンに行ってまいりました。ちなみに自費で行ってまいりました。  現地でわかったことは、ドイツの介護保険のメリットとして、第一に、社会扶助を受ける人が減ったこと、第二に、家族介護に現金が支給されるため支出が抑えられたこと、第三に、介護サービス機関や施設がふえたことなどでした。  しかしながら、発足当初、介護保険の周知不足から、年間八万件の異議申し立てがあったこと、また、痴呆性高齢者に対する介護認定が申請者の希望どおりにいかないことなど、さまざまな課題がありました。  そこで、介護保険制度導入に際して、何点か伺います。  第一に、痴呆性高齢者のグループホームについてであります。介護保険制度の在宅サービスメニューの一つであるグループホームの整備に取り組む必要があります。しかしながら、現在、都内で運営しているグループホームは一つもありません。  東京都の調査では、六十五歳以上の四・一%、八十五歳以上の五人に一人が痴呆であるという結果が出ており、今後、痴呆の高齢者が加速度的に増加していくことは明らかであります。まさに痴呆対策は二十一世紀の大きな課題であります。  そこで、都内に痴呆性高齢者のグループホームを早急に整備するとともに、そこで働く専門的な人材の養成、確保に都として取り組むことが急務であります。具体的にどのように進めていくのか、伺います。  第二に、ケアマネジャーに対する研修についてであります。介護保険制度では、ケアマネジャーがケアプランを作成する段階で、どのようなサービスを利用するかが決まることになります。しかしながら、ケアマネジャーが医療または福祉の分野のどちらの出身かによって、ケアプランの内容が医療中心になったり、福祉サービスを重視したりするなど、微妙に違いが生じる可能性があります。  そのため、重要な役割を果たすことになるケアマネジャーが、保健、医療、福祉の幅広い視点からのトータルなケアプランを作成できるよう、実践的な研修が必要であります。今後、都は、制度実施までにどのように養成を行うのか、伺います。  第三に、事業者に対する都の指導についてであります。ケアマネジャーは、利用者本人の意向を最大限に尊重してケアプランを作成しなければなりません。一方、介護保険導入により、多種多様なサービス提供事業者が介護市場に参入してまいります。そこで、このケアマネジャーの意向次第では、サービス提供事業者の利益が優先され、利用者の立場が損なわれるおそれがあるといわれております。こうした指摘に対し、事業者の指定を行う都は、厳正に対応すべきと考えますが、所見を伺います。  第四に、ドイツでは、申請者からの異議申し立てが年間八万件にも上っており、日本でも介護保険が実施されれば、多数の不服申し立てがあることが予想されます。要介護認定に不服がある場合、都に設置される審査会に不服申し立てを行うこととなっておりますが、第一義的には区市町村に殺到するのではないかと心配する声が上がっております。  そのため、都は、適正な要介護認定に加えて、不服申し立てに対し、迅速な処理ができる体制を整備すべきであります。所見を伺います。  次に、学校におけるボランティア教育について伺います。  少子高齢化が進む今日、子どもたちが学校や家庭内の人間関係だけではなく、高齢者や障害者を初め、広く地域社会の人々と触れ合い、体験的な活動を行うことは、他人を思いやる心や、優しい心、相手の立場になって考え、共感することができる温かい心をはぐくむことになります。そのため、我が党は、本年の第二回定例会代表質問で、ボランティア教育の必要性を訴えました。その際、都教育委員会は、都立高校において校外でのボランティア活動を単位として認定できるよう準備を進めると答弁しました。  そこで伺います。  第一に、ボランティア活動を学校の正規の教育活動の一環として、卒業に必要な単位に認めるよう、都教育委員会は積極的に取り組むべきと考えます。今日までの取り組み状況及びいつから実施するのか、伺います。  第二に、都教育委員会は、今後、都立高校においてボランティア活動を定着させるためにどのように進めていくつもりなのか、伺います。  第三に、ボランティア活動を都立高校に定着させていくためには、学校外の活動の成果を単位認定していくとともに、福祉に関する教育の充実を図ることが重要と考えます。そのため、今後、都教育委員会は、都立高校において福祉学科や福祉科目の導入など、福祉にかかわる教育を推進すべきと考えますが、所見を伺います。  第四に、ボランティア教育は、高校生だけではなく、多感で柔軟性のある小学生や中学生にとっても重要であります。そのため、今後、小学校や中学校においてもボランティア教育を積極的に導入すべきと考えますが、所見を伺います。  次に、中小零細企業対策について伺います。バブル崩壊後、戦後最大ともいわれる深刻な不況の中で、都内の中小零細企業は、仕事量の減少や単価の切り下げ、親企業の倒産、貸し渋りなどにより、厳しい経営を余儀なくされて、まさに生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされております。景気の先行きも全く見えない中で、都は東京の経営の基盤を支える中小零細企業をどのように守っていくのか、知事にお伺いいたします。  第二に、創業支援融資についてであります。都は、新時代に向けて活躍が期待される中小企業の創業を支援し、東京の活力を増進させるため、創業時に必要な資金を融資しています。この創業支援融資は、平成十年度、十月までに約七百件、五十億円の融資実績があり、中小企業から大変好評であります。  しかしながら、この融資の対象は三十歳以上で、勤務経験がない場合は、二名の連帯保証人が必要となっております。そのため、連帯保証人が見つからないとか、若い人が融資を受けたくても受けられないケースが多くあります。そんな中、現在、開かれております臨時国会において、新事業創出促進法案が上程され、審議されております。その中に、第三者保証人を不要とする保証制度を創設するとのことであります。そこで、都としても、こうした状況を踏まえ、創業支援融資の対象年齢や保証人制度などの要件緩和を進めるべきと考えますが、所見を伺います。  次に、羽田空港沖合移転跡地について伺います。  移転跡地利用については、現在、国、東京都及び大田区の三者で共同調査を行うとともに、調査委員会が利用計画について検討し、跡地利用計画案を作成する準備を進めております。二十一世紀に向けて夢のある開発計画であり、地元大田区民は大きな期待と関心を寄せております。  そこで、跡地利用計画の基本となる跡地利用計画案は、将来にわたって空港機能の向上や国際空港化とも関連しますが、いつごろ取りまとめられるのか、伺います。  第二に、利用計画策定の前提となります跡地の範囲と面積について、都は、移転問題協議会において検討、討議すると答弁しております。しかし、我が党の遠藤乙彦衆議院議員が、昨年三月に行われた国会の予算委員会において、移転跡地の範囲と面積について確認したところ、運輸省は、まだ区域が決まっていないという前提を述べた上で、おおむね二百ヘクタールという大変広い土地になるだろうと答弁しております。これを受け、都は、国に対し、早急に跡地の範囲と面積、さらに処分時期について明らかにするよう働きかけるべきであります。所見を伺います。  第三に、羽田空港の沖合展開計画については、昭和五十六年の確認書というものがあります。これは、昭和五十六年八月六日に、運輸大臣と都知事の間で交わされたもので、その中に、移転跡地を東京都が取得する方法と時期について協議するとしております。私は、この確認書に基づき、都は移転跡地を全面的に取得すべきと考えます。都が主体的に移転跡地を取得する姿勢を打ち出すべきであります。所見を伺います。  第四に、国産第一号機であるYS11がリタイアすることになり、最近になってこれを保存、展示しようという動きがあります。地元大田区では、跡地に航空博物館を建設する構想があり、この博物館にぜひYS11を展示できるよう、都の支援策を伺います。
     最後に、臨海部の広域斎場建設について伺います。  東京都区部では、高齢化に伴い急速に死亡率が高まり、十五年後には死亡者が現在の一・五倍になると予想されております。その結果、火葬場が不足し、区民生活に大きな支障が生じることが懸念されております。  そのため、大田区を初め、港、品川、目黒、世田谷の五区は、共同して臨海部の大田区東海一丁目に火葬と葬儀が行える広域斎場の建設を計画しました。しかし、この土地が都有地のため、本年十月十五日、関係区長は知事に対して、土地の無償提供か、もしくは土地処分にかかわる減免並びに斎場建設や運営に関する助成措置を講じるよう要請したところであります。  そこで伺います。  まず第一に、広域斎場は、その公共性、広域性、重要性の高い施設であり、都から、広域斎場建設や運営に関する助成措置がぜひとも必要と考えますが、所見を伺います。  第二に、港湾局が所管する埋立地については、地方公共団体が公用または公共用に供する場合、規則や基準により、都は減額して売却することができるとされております。例えば保育所や福祉施設をつくる場合は五〇%減額され、公園については七〇%減額されます。  ちなみに大田区東海一丁目にある大田区立の大田スタジアムは、区が都市公園を整備する場合と同様とみなされ、都から評価額の七〇%を減額されて土地を取得したものであります。広域斎場については、その公共性、広域性、重要性から見て無償提供すべきと考えますが、もしそれができないならば、このような実例を参考に大幅な減額で土地を売却すべきであります。  以上、所見を伺って、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 藤井一議員のご質問にお答え申し上げます。  中小零細企業の振興についてのお尋ねがございました。我が国の産業経済は、経済のグローバル化と景気低迷の中で構造的な転換期を迎えておりまして、中小企業にとりましては、今大変厳しい時期にあるということを私も認識をいたしております。  お話のように、中小企業は、東京の産業活力の源泉でございまして、その振興は都政の重要課題でございます。  このため、今日の環境変化に積極的に対応できる中小企業を育成してまいりますことは大変重要なことでございまして、新しい産業の創出とか、あるいは市場開拓、技術開発、融資などの資金調達、人材育成などを支援するという施策を積極的に実施していかなければならないと考えているところでございます。  今後とも、国や区市町村、関係団体と連携を密にいたしまして、中小企業の振興に向けまして、大いに力を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。  なお、その他のご質問につきましては、関係局長から答弁させていただきます。    〔高齢者施策推進室長神藤信之君登壇〕 ◯高齢者施策推進室長(神藤信之君) 介護保険に関しまして、三点のご質問にお答えいたします。  最初に、痴呆性高齢者グループホームの整備、人材の養成、確保等についてのお尋ねでございます。東京都では、今年度から痴呆性高齢者グループホームの設置を促進するため、区市町村に対する都独自の整備費補助を開始したところでございます。  また、今後はグループホームケアの事例集の作成や情報提供を行うとともに、痴呆ケアに当たる人材の養成策の検討を行うことにより、その設置促進に努めていきます。  次に、サービス提供事業者への対応についてのお尋ねでございますが、介護支援専門員は、利用者の立場に立って、本人に最も適した介護サービス計画を作成し、事業者との調整を行うなど、サービス利用の上で重要な役割を担うこととなります。  そこで、都は、保険者である区市町村とも十分連携しまして、介護支援専門員の意向によって利用者の立場が損なわれることのないよう、事業者指定や指導等を適切に行っていきます。  三点目でございますが、不服申し立てに対する処理体制についてのお尋ねでございます。  都といたしましては、平成十一年十月からの要介護認定の開始を視野に入れまして、介護保険審査会を設置するとともに、保険者となる区市町村とも緊密な連携を図り、都民から信頼される制度となるよう、不服申し立てに迅速に対処できる体制の整備に努めていきます。    〔福祉局長石川雅巳君登壇〕 ◯福祉局長(石川雅巳君) 介護支援専門員の養成についてでございますが、介護支援専門員は、国の基準に基づき、実務研修によって養成をいたします。  研修では、さまざまな資格の受講生が、保健、医療、福祉の各分野の課題分析、介護サービス計画作成手法などを学ぶことになっております。その後、施設や在宅の高齢者を対象に行う実習によりまして、みずから作成した介護サービス計画をもとに、討議を重ね、各分野の指導者から助言を受けることになっております。これによりまして、専門分野に偏らない幅広い視野を持った介護支援専門員を養成することになっております。    〔教育長中島元彦君登壇〕 ◯教育長(中島元彦君) ボランティア教育に関連する四点のご質問にお答えいたします。  まず、ボランティア活動を単位認定することについてのお尋ねでございますが、都教育委員会は、このたび、ボランティア活動などの高校生の学校外における学習の成果を単位として認定するための指針を作成し、各都立高校に通知いたしました。  今後、校長会等においてこの趣旨の徹底を図るとともに、平成十一年度から都立高校がこの制度を積極的に導入するよう、指導してまいります。  次に、ボランティア活動の都立高校への定着についてのお尋ねでございますが、現在、来年度からの実施に向け、ボランティア活動のさまざまな取り組みや、単位認定の具体的な事例等を示した手引を作成しているところでございます。  今後、各都立高校が、この手引を活用し、ボランティア活動を積極的に推進するよう、指導してまいります。  次に、都立高校の福祉教育についてのお尋ねでございますが、福祉に関する教育につきましては、既に都立高校において福祉コースなどを設け、成果を上げているところでございます。  今後は、都立高校改革推進計画に基づく総合学科高校やチャレンジスクール等の新しいタイプの高等学校の設置に当たり、福祉に関する学科、系列等の設置や、福祉科目の開設などの検討を進めてまいります。  次に、小中学校におけるボランティア教育についてのお尋ねでございますが、現在、各学校において、老人ホームへの訪問や、地域清掃など、創意工夫した活動を行っております。  先日、公表されました新学習指導要領の案には、学校教育において、ボランティア活動などの社会体験を積極的に取り入れることが示されております。  都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携を図りながら、ボランティア活動が一層推進されるよう努めてまいります。    〔労働経済局長大関東支夫君登壇〕 ◯労働経済局長(大関東支夫君) 創業支援融資についてのご質問にお答えいたします。  お話のように、現在、国会で審議中の新事業創出促進法案には、創業者に対する支援制度といたしまして、一千万円を限度に、担保及び第三者保証を必要としない、中小企業信用保険の特別枠の創設が盛り込まれております。  一方、都におきましては、昭和六十三年度に新規開業支援のために本融資制度を創設して以来、その拡充強化に努めてまいりましたが、さらに今年度には、従来、必要とされておりました一定の勤務経験がなくとも、三十歳以上であれば、新たに融資の対象とする改正を行ったところであります。  お話の創業支援融資の要件緩和につきましては、今後、国の動向を見きわめながら、対処していきたいと思っております。    〔都市計画局長成戸寿彦君登壇〕 ◯都市計画局長(成戸寿彦君) 羽田空港沖合移転跡地に関します四点のご質問にお答えいたします。  まず、跡地利用計画案の策定についてのお尋ねでございますが、羽田空港跡地の活用は、将来の空港機能や広域的な都市づくり等に配慮いたしまして、検討を進めてきております。本年二月には、跡地利用計画調査委員会において、土地利用の基本的な考え方が取りまとめられた次第でございます。  引き続き今年度は、導入機能や開発手法などの検討を行いますとともに、これまでの検討結果の集約を図り、来年三月末を目途に、調査委員会としての計画案を取りまとめていく予定でございます。  次に、跡地の範囲と面積についてのお尋ねでございますが、現在、運輸省におきまして、将来の空港機能などを見据えながら、空港用地外となる範囲等について、検討が重ねられていると聞いております。  都といたしましては、できるだけ早期に跡地の範囲等が示されるよう、運輸省に要請してまいりたいと考えております。  また、跡地の取得についてのお尋ねでございますが、現在のところ、処分される跡地の範囲や時期について、運輸省から提示されておりません。  今後、跡地利用基本計画が取りまとめられた段階で、都として用地を取得する場合には、都財政を勘案しつつ、適切に対応してまいりたいと思います。  最後に、YS11の展示についてのお尋ねでございますが、都では、運輸省、大田区と共同で進めている調査の結果を踏まえまして、平成十一年度以降に跡地利用基本計画を策定することといたしております。  基本計画の策定に当たりましては、具体的な跡地利用に対します広範なニーズ等に十分留意し、関係機関と協議しながら、取りまとめてまいります。    〔総務局長木宮進君登壇〕 ◯総務局長(木宮進君) 臨海部の広域斎場についてのお尋ねにお答え申し上げます。  斎場の公共性、重要性等につきましては、十分に認識をいたしております。斎場の建設や運営に関する助成措置につきましては、関係五区による事業主体の設立や整備計画の具体化等を踏まえながら検討してまいりたいと存じます。    〔港湾局長今沢時雄君登壇〕 ◯港湾局長(今沢時雄君) 臨海部広域斎場についてお答えいたします。  臨海部広域斎場建設事業の公共性、重要性などは十分認識しているところでございます。  お尋ねの広域斎場の事業用地の減額措置につきましては、関係五区による事業主体の設立、整備計画の具体化等を踏まえまして適切に対応してまいります。      ───────────── ◯副議長(前島信次郎君) 六十七番倉林辰雄君。    〔六十七番倉林辰雄君登壇〕    〔副議長退席、議長着席〕 ◯六十七番(倉林辰雄君) 私は、先ほどの疑問に満ちた多摩選出都議会議員の方と違いまして、真に多摩を愛する多摩選出都議会議員の一人として、都政の重要な課題であります多摩地域の振興策に絞ってお尋ねをしてまいりたいと思います。(発言する者あり)  初めに、環境維持に必要な林業の振興についてお尋ねをしてまいります。  林業に関する最近の国際的な動きといたしまして、十一月にマレーシアで開催されたAPECにおいて、林産物の関税撤廃が大きな問題として取り上げられました。これに対し、林業、木材業界の団体から関税撤廃反対の要請がなされ、我が党も、林業振興の観点から国に働きかけをし、関税撤廃の動きをとめることができたのであります。  水源の確保、災害の防止、環境の浄化など、多くの公益的機能を担っている森林は、古くから林業経営活動を通じて育てられてきたものでありますが、今は、木材価格の低迷により、木を切り出しても赤字を出す状況であります。これでは枝打ちや間伐などができず、その結果、森林の荒廃が危惧されているところでございます。  また、木材は私たちの生活を支える有効な資源でもあります。林業、木材業界の活性化を図るには、木材の需要拡大が不可欠であると考えます。  そこでまず、都として、地域材の利用拡大にどう取り組んでいくのかをお伺いいたします。  また、森林の手入れをどのように支援をしていくかについてもお伺いをいたします。  次に、都が行います公共住宅建設に関する地域開発要綱の改正についてお伺いをいたします。  都は、これまでにも多くの都営住宅を建設し、あわせて生活環境施設を整備してきたところであります。しかし、近年では、老朽化した住宅の建てかえが主流となり、また、住民の生活環境に関するニーズにも変化が生じてきております。  都は、このニーズの変化に対応して地域開発要綱を見直し、新たに福祉施設や防災関連施設を対象とする方向で改正の素案を取りまとめてきたと伺っておりますが、この方針は適切なものであると一定の評価はいたしております。ところで、一方、これら公益的施設の建設に要する費用は、区市町村の負担とするとしておりますが、これでは財政基盤の弱い自治体では施設の整備が進まないおそれがございます。  都は、今後とも、公益的施設の整備に当たって、地域の生活環境向上のために財政的な支援を行っていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。  また、従来より都は、地元区市町村との信頼関係に立って住宅の建設を進めてまいりました。私は、住宅政策の推進は、地域のまちづくりとしての意義が大きいとかねがね考えておりますが、こうした観点から、今回の改正に当たり、自治体の意見をどのように反映していくのかをご答弁願います。  次に、多摩都市モノレールについてお伺いをいたします。  去る十一月二十七日に多摩都市モノレールの立川-上北台間が開業となり、大変な反響を呼んだことはご承知のとおりであります。これによりまして南北交通が充実をしただけでなく、市街地再開発事業や土地区画整理事業に弾みがついた形となっております。特に立川駅南側では、来年四月に再開発ビルがオープンするところまで来ております。  この地区は、昭和三十年代後半から事業が開始をされ、当初は住民の反対も強く、権利者による準備組合が解散に追い込まれるなど紆余曲折があっただけに、関係者は、もしモノレールが来なかったなら、事業が手つかずのところもあったと話しております。このように、多摩都市モノレールの事業は、まちづくり事業にも極めて重要な効果をもたらしております。  そこで、次期整備路線の上北台から箱根ヶ崎間についてでありますが、沿線の武蔵村山市や瑞穂町では、西部地区や殿ヶ谷地区などの土地区画整理事業が計画をされております。これらの中には、長年の努力により、住民の合意を得てようやく事業着手に至ったものや、その寸前まで達しているものもあります。これらの事業は、本来のまちづくりを進めながら、モノレールの走行空間をも生み出すものであり、モノレール事業と表裏一体の関係をなすものであります。  そこで一点目、多摩都市モノレールの延伸について、現在、都市計画決定に向けた準備を進めていると聞いておりますが、その進捗状況と計画の概要についてお伺いいたします。  二点目、鉄道がない地元住民の悲願であり、一日も早い計画の具体化を望んでいるところでありますが、計画発表の時期はいつごろになるのかをお聞かせいただきます。  三点目、都市計画決定を平成十二年度にもすべきであるとの地元の声がうねりのごとく高まっておりますが、その見通しについて明確にお答えをいただきたいと思います。  次に、十二号線の延伸についてお尋ねをいたします。  この十二号線は、昭和六十年の運輸政策審議会の答申において、光が丘から先への延伸が位置づけられており、大泉学園町までが整備路線、清瀬市方面が検討路線となっております。大泉学園町では、現在、交通局が免許申請に向け準備を進めておりますが、その先の清瀬市方面への延伸は、いまだ具体的な計画が煮詰まっておらない状況であります。  このようなこともあり、清瀬市を初めとした沿線各市では、既設鉄道路線の混雑緩和、交通不便地域の解消、そしてまちづくりの推進を図るために、本年十月に延伸実現に向けた要望を都に行ったところであります。  このことに関し、都は、先般、当該延伸を運輸政策審議会の次期答申に向けた要望路線の一つとして決定したと聞いておりますが、今後、その実現に向けてどのような取り組みをされていくのか、お伺いをいたします。  次に、都市基盤整備のおくれております北多摩北部地域の振興策についてお伺いいたします。  都は、本年四月に、多摩の心育成・整備計画を策定し、特性を生かした拠点づくりを進めていくとしております。また、先般策定されました改訂重点計画では、生活心の今年度のモデル地区に多摩東部の調布周辺地区が選定されております。多摩地域の振興を図っていく上で、多摩の心や生活心の整備は重要なことであります。しかし、北多摩北部地域六市はこれらの対象からも外れており、このままでは忘れられた存在になるかと私は危惧しております。  多摩地域全体の均衡ある発展のためには、最も都市基盤整備のおくれた地域こそ、重点的に整備をすることが大切であると思いますが、所見を伺います。  ところで、まちづくりの中心となるべき道路整備について、この地域は大幅なおくれが見られます。平成十年三月現在の都市計画道路の整備率は二四・一%しかなく、区部の五五%はおろか、多摩地域の平均の四三・七%と比較しても非常に低い状況となっております。特に、私の住んでおります東村山市は九・六%と、多摩地域の中でも極端に低い状況であります。  そこで、府中所沢線などの南北道路を含む道路整備を重点的に進めていくべきと考えておりますが、所見をお伺いいたします。  次に、多摩地域のための組織再編についてお伺いいたします。  二十一世紀を目前にして、都市基盤整備などの諸課題は、未曾有の財政危機の中で、来世紀に持ち越さざるを得ない不安な状況下にあります。一方、少子高齢化対策などにも新たな課題も生じております。都は、このような課題を抱える市町村をリードするために、今こそ広域自治体として積極的な役割を担うべきだと考えております。  そこで伺います。多摩地域の課題及び振興について、知事はどのような認識をお持ちなのかをお聞かせいただきます。  我が党は、昨日の代表質問において、多摩地域の振興を専管する組織の整備が不可欠であることを主張し、知事の見解を求めました。しかるに、知事の答弁は具体性に乏しく、不満の念を禁じ得ないのであります。  各市町村は、今回の組織再編素案では、都の広域行政が後退し、これまで築いてきた信頼関係をないがしろにしかねないと非常な危機感を訴えております。こうしたことから、市長会、町村会は、この素案について要望書を知事に提出したと聞いております。これについて、知事はどう受けとめておられるのかをお伺いいたします。  また、多摩担当副知事を補佐する体制づくりについて、どのように対応しようとしているのかについても具体的にお伺いをいたします。  さて、最後に青島知事さんにお伺いをいたします。  議会は、今さら申し上げるまでもなく、東京都のまちづくりや都民の福祉向上のために真剣に議論を尽くす場であり、議場での発言は大変な重みと責任を持つものであります。  私は、昨年十二月の定例会において、先ほど申し上げました多摩地域の中で特に都市基盤のおくれている東村山市、東大和市、武蔵村山市の三市の視察をしていただきたいと、この場で知事にお願いをいたしましたところ、知事から、ぜひとも早い機会を得て視察をいたしますとのご答弁をいただきました。そして、視察の際の案内役まで私が仰せつかったのであります。以来、ちょうど一年がたちました。残念ながら、いまだにその実現を見ることができません。先般、多摩都市モノレールの開業式典の際、知事は立川からモノレールに乗って東大和市の上北台までわざわざお見えになりましたが、私は、その際にでもと期待をいたしたところでありますが、むなしくも、駅をおりて一分と立ちどまることもなく、そのまま車で帰られ、実現いたしませんでした。
     確かに知事の職務は、大変激務だということは存じております。知事視察には、地域住民も大きな期待を寄せていることを真摯に受けとめていただきたいと思っております。無責任なその場しのぎの答弁は、知事になる前の意地悪ばあさんのスタイルだけで私は十分であります。私は、美辞麗句を幾ら唱えられても、約束を守らない人はとても信じるわけにはいきません。  そこで、議会答弁の重みと責任と実行について、知事はどのようにお考えになっているのかをお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 倉林辰雄議員のご質問にお答えを申し上げます。  多摩地域の課題及び振興に関する認識について、まずお尋ねがございました。  多摩地域において、道路を初めといたします都市基盤整備などに課題があることは十分に承知をいたしております。  私は、多摩地域の振興を都政の重要課題の一つとして位置づけておりまして、これまでも、多摩都市モノレールや多摩川中流部への架橋など諸課題の解決のため、鋭意努力をしてきたところでございます。今後とも、市町村と連携をとりながら、多摩地域の振興に力を尽くしてまいりたいと思っております。  次に、市長会、町村会から、組織再編素案に対する要望書についてお尋ねがございました。  九月に、市長会及び町村会に対しまして、東京都行政改革大綱見直し方針及び組織再編素案を説明いたしまして、十一月には、両会からそれに関する要望をいただいたところでございます。組織再編に当たりましては、市町村からの理解も極めて重要でございまして、要望書の趣旨も尊重して取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  また、多摩担当副知事を補佐する体制づくりについてご言及がございました。  多摩地域の振興につきましては、私を本部長といたします多摩島しょ振興推進本部も設置をいたしまして、多面的に取り組んでいるところでございます。  多摩振興を担当する副知事は、多摩地域の振興に係る都の施策の総合調整を行ってきたところでございますが、組織再編に当たりまして、多摩振興の重要性を踏まえ、ご指摘の点も十分含めて考えてまいりたいと考えております。  最後に、議会答弁の責任のあり方について追及されましたことにつきましてお答え申し上げます。  昨年の第四回定例会におきましてご案内を受けました、東村山市あるいは武蔵村山、東大和の三市へ視察に参るとお約束をしたことは、確かに私も覚えておりますが、日ごろよりずうっと気にかけていたところでございますが、いまだに実現できないことにつきまして、私もまことに残念に思っております。せんだっては、東大和まで出かけていきながら、お約束が守れなかったことについても大変残念に思っておりまして、いずれにいたしましても、次々にスケジュールが詰まっておりまして、時間の余裕がなかったことについて、おわびを申し上げる次第でございます。  議会での発言の重みにつきましては十分に認識をいたしておりまして、今後、機会をつくりましてお訪ねできるよう、鋭意努力を重ねてまいりたいと思っております。  なお、その他のご質問につきましては、東京都技監及び局長から答弁させていただきます。ご了承いただきます。    〔東京都技監佐藤一夫君登壇〕 ◯東京都技監(佐藤一夫君) 北多摩北部地域における重点的な道路整備についてお尋ねですが、都市計画道路の整備率が低い本地域においては、府中所沢線など南北道路の重点的な整備とあわせ、生活に密着した道路の整備も進め、自立都市圈の形成と都市間の連携に寄与する効果的な道路ネットワークの整備を図ってまいります。    〔労働経済局長大関東支夫君登壇〕 ◯労働経済局長(大関東支夫君) 林業振興にかかわる二点のご質問にお答えいたします。  まず、地域材の利用拡大についてのお尋ねでございますが、地域材の利用拡大は、東京の林業振興のために欠かせない重要な課題であると認識しております。  このため、都は、機会あるごとに木材製品や木造住宅のよさをPRする展示会などを開催するとともに、庁内に木材利用推進連絡会を設置いたしまして、都が行う公共事業において、間伐材を初めとする地域材の積極的な利用を図ることとしております。  今後は、さらに地域材を使った住宅建設や商品開発を促進する施策を積極的に進め、東京の地域材の利用拡大に努めてまいります。  次に、森林の手入れに対する支援についてのお尋ねでございますが、不況に伴う木材需要の減少や外材の輸入増大による木材価格の低迷は、森林所有者の経営意欲を減退させ、森林を荒廃させる等、東京の森林保全や、産業としての林業にとって深刻な事態を生じさせていると受けとめております。  都は、こうした状況を打開するため、造林や間伐に要する経費に対する助成、林道、作業道の整備、搬出作業の機械化の促進などの施策を実施してきたところでございます。  今後は、こうした施策を一定の地域を定めて総合的に、集中的に実施し、作業効率の向上やコストの低減を図り、森林所有者の経営意欲を喚起してまいります。  また、担い手不足による森林の荒廃を防止する一助といたしまして、森林ボランティアの活動を積極的に支援してまいります。    〔住宅局長英辰次郎君登壇〕 ◯住宅局長(英辰次郎君) 公共住宅建設に関連する地域開発要綱について、二点のご質問にお答え申し上げます。  まず、地域開発要綱の見直しに当たっての区市町村に対する財政援助についてのお尋ねでございます。  都は、今回の見直しでは、少子高齢化など社会経済情勢の変化を踏まえまして、小中学校等を要綱の対象から除外するとともに、区市町村から要請の高い福祉施設や防災関連施設などを新たに要綱の対象にしたいと考えているところでございます。  これらの施設の整備に当たりましては、都と区市町村の適切な役割分担のもとで、用地については一定の範囲で、都が無償で提供することを現在検討しておりますが、施設建設費につきましては、事業主体である区市町村が国の補助制度などを活用して負担していくべきものと考えているところでございます。  次に、地域開発要綱の見直しに当たって、区市町村の意見をどう反映していくかとのお尋ねでございますが、この要綱は、東京都が行う公共住宅の建設に関連して、地域開発の推進と生活環境の向上に寄与することを目的としております。地域のまちづくりの主体である地元区市町村の意見を聞いて、見直しを進める必要があると考えているところでございます。  現在、区市町村に対して改正の素案を説明しているところでございますが、今後とも十分に話し合いを重ねてまいります。    〔都市計画局長成戸寿彦君登壇〕 ◯都市計画局長(成戸寿彦君) 都市計画に関しますご質問にお答えいたします。  まず、多摩都市モノレールに関するご質問が三点ございまして、一点目は、多摩都市モノレール延伸部の進捗状況などについてのお尋ねでございます。  多摩都市モノレールは、多摩の自立都市圈の形成に大きく寄与する公共交通であると認識しております。次期整備路線に当たる上北台から箱根ヶ崎間については、これまで地質調査や環境調査を行ってきたところでございますが、昨年度からは基本設計を行い、モノレール導入空間の確保のための道路の幅員や、モノレール構造物の検討を行っているところでございます。  二点目は、多摩都市モノレール延伸の計画発表の時期についてのお尋ねでございます。  次期整備路線の事業化へ向けては、近年の都の財政状況や多摩都市モノレール株式会社の厳しい経営状況などを踏まえる必要がございます。  都といたしましては、こうした諸課題に取り組みつつ、技術的な検討結果も考慮いたしまして、関係機関と調整を図るなど、できるだけ早い時期に計画素案が発表できるよう準備を進めてまいります。  三点目は、多摩都市モノレール延伸の都市計画決定の見通しについてのお尋ねでございます。上北台から箱根ヶ崎間について、ご指摘いただきましたように、地元の方々から、平成十二年度の都市計画決定を望む声が高まっていることは承知をいたしております。都といたしましては、そのような地元の期待を十分認識しながら、種々の課題に取り組み、事業化に向けた準備を進めてまいります。  次に、地下鉄十二号線の清瀬市方面への延伸についてのお尋ねでございますが、去る十一月二十日、都は、次期運輸政策審議会答申に向け、地下鉄十二号線の延伸を含めた都の要望路線を決定したところでございます。本構想の実現には、まず、運輸政策審議会答申に位置づけられることが重要でございまして、都といたしましては、今後、埼玉県とも連携を図りながら、本路線の延伸が答申に位置づけられるよう努力してまいります。  最後に、北多摩北部地域の整備についてのお尋ねでございますが、個性と魅力のある多摩自立都市圏を形成する上で、当地域の整備を促進していくことは、ご指摘のとおり、重要な課題であると認識いたしております。  都は、これまで、この地域の整備にかかわる調査の実施や、都市基盤の整備などに努めてまいりました。今後とも、南北道路等の整備を着実に進めるとともに、市が主体となって進める生活心の育成、整備への支援を図るなど、地元市と連携しながら、北多摩北部地域の整備に積極的に取り組んでまいります。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 四十六番黒須隆一君。    〔四十六番黒須隆一君登壇〕 ◯四十六番(黒須隆一君) まず初めに、八王子市の中核市指定についてお尋ねいたします。  私は、これまで、平成九年三月の予算特別委員会、引き続き同年十二月の本会議におきまして、八王子市の中核市指定に関し質問させていただいておりますが、今回は、ことし四月に設置されました中核市移行に関する都・市協議会において都・市間で協議されている状況を中心に何点かお尋ねします。  新聞報道によりますと、十月二十一日に第二回協議会が開催されたとのことですが、その協議会において、法令等に基づく移譲事務、二千九十八項目の確認とあわせて、中核市に移行する場合の経費として、約六十四億円という金額が提示されたと認識いたしております。  そこで、まず最初に、都の本協議会に臨む基本的な姿勢と、現在の協議状況及び今後の進め方についてお伺いします。  さて、現在の経済情勢のもと、多摩地域の各市町村も厳しい財政運営を余儀なくされており、今後、その厳しさはますます増してくるものと思われます。先日、東京都市長会が、これでは十一年度予算は組めないと題して、緊急財政アピールを行っておりますが、このような先行き不透明な経済情勢の中、八王子市が中核市に移行して、財政運営が立ち行くのかどうか、実は私も大変心配いたしておる一人であります。  そこで、現在、東京都として、八王子市の財政実態をどうとらえているのか、お伺いします。  先ほど申し上げました中核市移行に係る経費六十四億円のうち、法定移譲事務に係る経費については、地方交付税の算定上、所要の措置が講ぜられることとなっております。しかし、都単独事務等については、こうした制度上の財源措置がなされないことは、ご案内のとおりであります。八王子市におきましては、厳しい経済情勢の中、ただでさえ困難な財政運営を強いられているところですが、さらに、中核市移行に伴う財政負担が生じることにより、住民サービスの低下を心配する声が地元市議会からも出始めております。八王子市が中核市に移行したとしても、八王子市民は引き続き東京都民であり、また、都税も従前と同様に負担し続けることを考えても、都として、他の市民に対するのと同様の行政サービスの水準を維持していく責務があると考えます。八王子市が中核市に移行することに伴い、都単独事務や補助金の取り扱いを見直したとしても、都として、これまでどおり財源を負担すべきと考えますが、ご所見を伺います。  中核市制度は、地方分権の先駆けであります。八王子市が中核市に名乗りを上げたことは、二十一世紀におけるまちづくり等を自主的に進めるとともに、住民生活にかかわる事務は、できる限り住民に身近な自治体で行おうとするものであり、地方分権の理念に照らしても、その姿勢は大いに評価されるべきものであると考えます。八王子市が円滑に中核市に移行できるか否かは、ひとえに財政負担問題にかかっているといっても過言ではありません。八王子市の中核市移行に関する都の財政支援について、重ねて強く要望申し上げまして、中核市に関する質問を終わらせていただきます。  次に、周産期医療体制の整備についてお尋ねします。  なお、申し添えますが、出産前後の母子双方にとって最も注意を要する時期のことを周産期と称します。  近年の急速な少子化の進行に伴い、地域で産婦人科、小児科を標榜する医療機関の数は年々減少しており、また、産婦人科、小児科を志す医師も少なくなっていると聞いております。その一方で、晩婚化の影響等から、ハイリスクの妊婦や新生児が増加しており、高度の専門的な周産期医療を必要とするケースが多くなっております。周産期医療は、母親や子どもの生命に直接かかわる緊急性の高い医療であり、迅速かつ適切に医療を提供する必要があります。したがって、これらの需要に対応するための病床の整備や、患者搬送のシステムの構築が、安心して子どもを産み育てられる体制を整備する上で、極めて重要な課題となっております。  このため都では、平成九年十月から、高度専門的な医療を提供する周産期母子医療センターの計画的な整備に努めるとともに、平成十三年度までに新生児集中治療管理室(NICU)を二百床整備することといたしております。  そこで、まず、現在のNICU整備の進捗状況及び今後の整備計画について、どのような状況になっているのか、お尋ねいたします。  ハイリスク分娩が予想される妊婦の場合、妊娠早期から適切な管理を行うことで、母子の救命率が向上するといわれており、周産期母子医療センターの整備は急務であります。特に、高度専門医療の提供を役割とする都立病院には、母体から新生児まで一貫した総合的な治療管理が行える総合周産期母子医療センターを整備することが必要であると考えます。  しかし、平成十一年度には、周産期医療に多くの業績を上げてきました都立築地産院が都立墨東病院に統合されると聞いています。その際には、この伝統を引き継ぐ形で、都立墨東病院を総合周産期母子医療センターとして整備すべきと考えますが、所見をお伺いします。  また、多摩地域におきましては、出産人口が比較的多いにもかかわらず、NICUを有する医療機関が少ないのが実情であります。このような状況の中で、都立八王子小児病院は、新生児救急や心臓病医療を重点として、多摩地域における小児医療の中心的役割を果たしています。特に、本年二月には、新生児搬送専用のドクターカーを配備するなど、出生直後の治療や小児救急医療等への取り組みにより、地域の医療機関や住民から大きな信頼を寄せられております。  しかし、都立八王子小児病院には産科がないため、周産期医療に十分対応できないのが現状であります。私は、昨年の第四回定例会におきましても、都立八王子小児病院の周産期医療機能を充実するためには、移転、改築が急務であると申し上げました。そして、市内東浅川町にあります旧畜産試験場浅川分場跡地がその予定地と決定されました。移転、改築の実現に向け、現在どのような検討を進めているのか、答弁をお願いします。  先ほども申し上げましたが、多摩地域の周産期医療体制は依然として厳しく、都立八王子小児病院の機能強化は不可欠であります。早急に具体的な計画を策定し、実行に移すよう、強く要望をいたしておきます。  最後に、知事の政治姿勢についてお尋ねします。  都政は、これまでさまざまな試練に遭い、時にその英知と行動力が試されてきました。賢明なる私たちの諸先輩は、幾たびもこれを乗り越え、今日の東京を築いてきたのであります。しかしながら、二十一世紀を目前に控え、歴史的な転換期を迎えている中で、今ほど都政運営のかじ取りが試されていることはありません。そして、私は、都政の将来に、今風に表現するならば、沈み行く「タイタニック」に乗り合わせてしまったような不安感を抱くのであります。  知事、今、多くの都民が求めているのは、長期不況、金融危機、失業、老後への不安、そして国際的地位の低下といった、いわば国難、私難を克服してくれる、強いリーダーシップを持った指導者です。本当の指導力とは、正しいと思ったことは都民に徹底的に説明し、理解を求めて実行し、実績を積み上げていくことではないでしょうか。民意の底にあるものをくみ上げて、説明、説得、実行に邁進していくリーダーを都民は待ち望んでいるのであります。  また、先の見えにくい厳しい時代ではありますが、今こそ二十一世紀の東京の原風景をしっかりと都民に示さなければなりません。将来に向かって最善と思われる選択をしているという希望があって、初めて人は痛みを分かち合えるのです。都政のリーダーたる知事は、こうした姿勢で都政の運営に臨み、実績を積み重ね、都民の信頼を得ていくことが何よりも大切であると私は思います。  そこで、知事にまずお尋ねいたします。知事は、就任以来、この三年半の間に、何をなし得、何をなし得なかったのか。進展したと思う施策と反省している点は、自分自身が一番よくわかっていると思います。この際、知事の本音を、知事の言葉で率直にお答え願います。  また、報道によりますと、知事は、来年四月に迫った東京都知事選挙に臨む姿勢として、告示日ぎりぎりに態度を表明すればよい、とりたてて準備をするわけでもないので、あした選挙でも問題ないと答えているのであります。しかし、これは都政の最高責任者として、都民に対して余りにも無責任な態度であります。  知事は、先月、昨年策定したばかりの「生活都市東京の創造 重点計画」を改定し、平成十一年度から十三年度の新たな三カ年計画を策定しました。また、選挙後に執行される来年度予算は、骨格ではなく本格編成を行うと聞いております。こうした姿勢を示しながら、知事選に関して、なぜあのような発言ができるのか、全く理解に苦しむとしかいいようがありません。来年度もみずからが予算を執行していくつもりなのか、あるいは、他の人にこれをゆだねるのか、それによって予算査定の姿勢が変わるはずです。また、知事がみずから執行するつもりか否かは、議会が予算案を審議する上でも、根本的な問題として大きな影響を及ぼすものです。  こうして見ると、計画や本格予算をつくりながら、告示日ぎりぎりまで態度を表明しないことは、都民の信託を受けた都政運営の最高責任者として、私はフェアな姿勢といえないと思います。青島知事、今ここで、無責任な態度を改め、都民に向けて再選に対する姿勢を明らかにすべきと思いますが、いかがでしょうか。責任ある、明確な答弁をお願いします。  なお、念のため申し添えますけれども、私は、知事の姿勢がアンフェアだということを指摘しているのでありまして、再選を促しているものでもありませんし、たとえ知事が再選を表明されましても、支援をお約束するものではありません。  以上で私の質問を終わります。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 黒須隆一議員のご質問にお答え申し上げます。  まず、私に問われましたことは、今までになし得たことは何か、なし得なかったことは何かということでございまして、第一に何をなそうとしたのかということがご質問の趣旨だろうと思います。  私は、まず最初に、知事に就任いたしまして、できることは何だろうということをみずから問いまして、できる限り開かれた都政をつくることがまず第一であろうと考えました。そして、万機公論に決すべし、すべて民主主義的なルールにのっとってつまびらかにしていくことが、何より正直な姿勢であろうと考えました。  そこで、いずれにいたしましても、開かれた都政を築いてまいりますということをみずからに課したわけでございまして、例えば、審議会とか、あるいは懇談会などのメンバーにいたしましても、従来のメンバーではなくて、肩書とか思想に関係なく、公募でご参加いただく方をメンバーといたしまして、しかも、すべての会議は原則公開ということにいたしまして、資料から何から公開をするということにいたしました。ご議論いただきまして、また、中間でまとめができましたときは、「中間のまとめ」なり中間報告として、インターネットなどを通じてつまびらかにし、ご批判をいただくなり、お知恵を拝借するなりして、物をまとめていこうというふうな姿勢を貫いてまいりましたし、できる限り開かれた都政のためにということが私の基本姿勢でございました。  何をなし得たかということを、まず、私の考え方で申しますと、一つの例として申し上げますけれども、循環型社会づくりということにつきましては、私は誠意を込めて努めてまいったわけでございますが、リサイクルの青島と呼んでほしいというようなことを高らかに宣言しました。大量生産、大量消費、大量廃棄ということを、そのまま無反省に使い捨てを続けていけば、やがては環境を害し、ごみの山に埋もれて、持続的な都市の発展はあり得ないだろうということから、資源循環型の社会をつくっていかなければ、これからは進めないということも皆様の前に明らかにいたしまして、また、それも行政の側だけの能力ではできっこない、一般の方々、事業者の方々にもご協力をいただき、また、そういう風潮をつくっていかなければならないということに熱心に取り組んでまいりまして、今や多くの方々が、そうした考え方に定着して、ご理解いただいていると思いますし、それの証拠には、年々ふえ続けてまいりましたごみの量は、ここへまいりまして下降線をたどっておるありさまでございまして、このようなことは一つの成果だと考えております。  私について再選の意思があるかどうかということのお確かめでございますが、私はこうした長期的な問題に取り組んでいるさなかでございますので、一歩一歩着実に努力を重ねていく中で任期満了の日を迎えたい、かように考えているわけでございまして、ご理解いただきたいと思います。  他のご質問に対しましては、関係局長から答弁させていただきます。    〔総務局長木宮進君登壇〕 ◯総務局長(木宮進君) 八王子市の中核市指定についての三点のご質問にお答え申し上げます。  中核市移行に関する都・市協議会に臨む基本的な姿勢と、現在の協議状況及び今後の進め方についてのお尋ねがございました。  八王子市の中核市移行は、ご指摘のとおり、地方分権の先駆けといえるものでありまして、都としても、その円滑な移行を図ることが重要であると考えております。現在、協議会において、都単独事務の取り扱いや、中核市移行に伴う財政負担の問題などについて、引き続き協議を行っているところでございます。八王子市の希望する平成十二年四月の移行を実現するためには、早々に東京都、八王子市間で合意を調えることが必要であり、八王子市の意向等にも十分留意しながら、今後、鋭意協議を進めてまいります。  二つ目が、八王子市の財政実態についてのお尋ねがございました。  市町村全体が厳しい財政運営を迫られている状況にございますが、八王子市につきましては、平成九年度決算における経常収支比率が九四・六%と、市町村の平均を上回るなど、より厳しい財政状況にあるものと認識をいたしております。  最後に、中核市移行に当たっての財政支援についてのお尋ねがございました。  八王子市の財政状況が厳しい中にあって、ご指摘のとおり、中核市移行に伴う財政問題は重要であると考えております。本来、法定移譲事務と密接に関連をいたします都単独事務等につきましても、権限移譲に伴い、今後、中核市がみずから責任を担い、みずからの財源により行うべきというふうに考えております。しかしながら、中核市への移行に当たって、八王子市が円滑に住民サービスを提供できるよう、東京都としても必要な財政措置についてできる限り対応してまいりたいと考えております。    〔衛生局長柳澤英治郎君登壇〕 ◯衛生局長(柳澤英治郎君) 周産期医療関係三点につきましてお答えをいたします。  まず、都におけるNICUの整備状況と整備計画についてのお尋ねでございますが、平成十年十月現在、周産期母子医療センターは十八施設、NICUは百五十七床整備されており、また、センターが相互にネットワークをつくり、円滑な周産期母子医療の提供に努めております。NICU二百床の整備目標に対しましては、今後とも周産期医療に取り組んでいる医療機関に対し積極的な働きかけを行うなど、計画的な整備に努めてまいります。  次に、都立墨東病院における総合周産期母子医療センターの整備についてのお尋ねでございますが、周産期医療推進のためには、母体から新生児まで一貫して総合的な治療管理が行える総合周産期母子医療センターの整備が、ぜひとも必要であると認識をしております。このため、都立墨東病院には、ハイリスクの妊産婦に適切な医療を提供する集中治療管理室や、誕生した新生児の治療に当たるNICUの整備を進めており、平成十一年六月から、総合周産期母子医療センターとして事業を開始する予定でございます。  次に、都立八王子小児病院の移転、改築についてのお尋ねでございますが、ご指摘のとおり、多摩地域の周産期医療体制を整備する上で、都立八王子小児病院を周産期母子医療センターとして整備することは重要であると考えております。このため、局内に八王子小児病院在り方検討委員会を設置し、全体規模を百五十床程度とする方向で、産科病棟を新規に整備すること、NICUを十二床程度整備することなど、具体的な医療機能について、鋭意検討を行っているところであります。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 四十二番遠藤衛君。    〔四十二番遠藤衛君登壇〕
    ◯四十二番(遠藤衛君) 私は初めに、余裕教室の積極的活用についてお尋ねをいたします。  近年の少子化によって、小中学校に余裕教室が出ております。これをお年寄りや障害を持つ皆さんの活動の拠点とすることによって、子どもたちに思いやりの心がはぐくまれ、真のノーマライゼーションの精神が一層高まるのではないかと考えるわけであります。文部省もようやく余裕教室を福祉施設等、学校以外への転用にも理解を示してきたので、積極的に活用を図ってほしいと思います。  あわせて、過日の中学生議会においても、老人ホーム等を訪問することによって、考え方が変わった、子どものころから、ともに遊び、ともに学ぶことの経験が必要である、こういう発言もありました。  このようなことからも、余裕教室の有効活用によって、一つには、福祉施設面でのメリット、二つ目には、心の教育、先ほど申しましたように、思いやりの心がはぐくまれ、今日の学級崩壊が叫ばれているようなときこそ、このような学校の複合教育から真の教育、すなわち心の教育が生まれ、あわせてノーマライゼーションの精神がはぐくまれ、すばらしいまちに発展するのではないかと思うわけであります。  そこで、一つは、福祉局において、区市町村が小中学校の余裕教室を活用して在宅福祉サービスを実施する場合に、整備費を助成する事業を実施しております。しかし、平成八年度は二件、平成九年度はなしということになっておりますが、これは、国庫補助金を受けた財産を補助金交付目的以外に使用する場合の承認手続や、補助金の返済等について区市町村に十分理解されていなかったことによるものではないかと思うわけであります。  そのため、平成九年十一月に文部省は、余裕教室を地域の実情に応じ社会福祉などの学校施設以外の用途にも積極的に活用できるよう、転用手続の一層の簡素化を図ったところでございます。  さらに、補助金を受けて十年を経過した建物については、原則として補助金の返済を求めないことも明文化いたしました。  少子高齢化社会を迎え、区市町村における余裕教室という既存の社会資源の有効活用は、今後の在宅福祉の充実、特に知的障害者の方の働く場の確保という発想からも、大変有効であると考えますが、今後どのようにして余裕教室の活用を推進されていくのか、お伺いをいたします。  あわせて、教育庁としては、この余裕教室を社会福祉等の施設に転用することによって、複合施設として教育面で大きく期待できるものと私は思いますが、教育長の余裕教室の活用に対するご所見をお伺いいたします。  次に、京王線連続立体交差事業についてお伺いいたします。  京王線・相模原線調布駅付近連続立体交差事業は、踏切の解消により交通問題の解決が図れることはもとより、地域を分断している鉄道の立体化が図れることから、南北一体となったまちづくりを展開し得る条件が整備されることになり、まちづくりにとって大変重要な事業であります。おかげさまで、地元市を初め多くの関係者の長年にわたった努力の結果、本年四月、着工準備箇所として新規採用されたところでございます。本事業の早期事業化は、市民の強い要望であります。本年九月には、国領駅南地区の再開発事業の工事が再開され、沿線のまちづくりも具体的に進められてまいりました。  そこで、現在の事業化に向けての取り組み状況と、今後の見通しについてお伺いをいたします。  また、十一月には、調布駅周辺地区が、葛飾区の新小岩地区とともに都の生活心モデル地区に選定され、公共施設や、商業、文化等、諸機能の充実したまちづくりが進められようとしております。  もとより、身近な地域のまちづくりは、地元の自治体が主体となって進めていくものでありますが、都は、このような地元自治体の取り組みを受けとめ、生活心モデル地区として選定した地区において、どのような支援を行っていくのか、その基本的な考えをお伺いいたします。  次に、多摩地域の道路等の都市基盤整備についてお伺いをいたします。  東京都心部等のベッドタウンとして急激に市街化が進んできた多摩地域は、近年、人口の増加傾向も落ちつきを見せ、多摩地域に生まれ育った世代もふえてまいりました。このような地域としての成熟化に伴い、多摩地域は、業務、商業の集積と文化交流等多様な機能の誘導を図り、職住の近接した自立都市圏の形成を図っていく必要があります。  しかしながら、これまでの市街化が余りにも急激な変化であったことにより、道路などの都市基盤整備がおくれ、区部との大きな格差を生んでおります。多摩地域における都市計画道路の完成率はまだ四四%であり、東京都全体の五〇%や区部の五五%と比較して、大きく下回っている状況にあります。とりわけ多摩地域の連携を強化するための南北方向の道路整備や、慢性的な交通渋滞の解消、安全性の向上を図るための拡幅整備が、住民や地元市町村から強く望まれているところでございます。  一方、我が国の経済情勢は、かつてないほど景気低迷が続き、今後の見通しも依然として不透明な状況であり、東京都においても、今年度の都税収入が当初予算を大きく下回ることが確実であるなど、厳しい財政運営が求められております。  しかしながら、こうした経済状況であるからこそ、積極的に投資を行い、道路の拡幅や用地買収等による新たな事業の創出、民間投資の誘発のための容積の緩和等を図りながら、良質な都市型住宅の供給ができるなど、地域の活力を高め、社会経済活動を活発化していくため、必要不可欠な都市基盤整備を進めていく必要があると考えます。  そこで、まず、このような社会経済情勢を踏まえた上で、多摩地域における今後の道路整備事業の推進に対する基本的な考えをお伺いいたします。  次に、既に事業に着手し、用地買収を行っている区間については、貴重な財源を投入しているのでありますから、早期に完成させるべきであると考えます。道路は完成して初めて、その役割が一〇〇%果たせるものであります。ご所見をお伺いいたします。  最後に一点、要望させていただきます。  調布基地跡地に建設中の東京スタジアムは多目的でありますが、一種公認の陸上競技場でもあります。そのためには、補助競技場がなければ一種公認は認められません。記録は参考記録でしかありません。したがって、大きな大会は来ない、またはできない。少なくとも、二種公認の補助競技場としての計画を進めるべきであります。平成十二年にスタジアムとあわせてオープンできるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 遠藤衛議員のご質問にお答え申し上げます。  生活心モデル地区への都の支援について、まずご言及がございました。  区市町村が主体となって進めてまいります身近な生活圏のまちづくりを推進してまいりますため、改訂重点計画では、生活心モデル地区の選定と同地区での具体的な検討を通じまして、育成整備に関する新たな支援の仕組みを構築することといたしております。  選定したモデル地区においては、区市町村が育成・整備計画を策定し、都としては、補助事業の優先的採択や都施行事業の推進に努めるなど、生活心の育成整備を支援していこうというふうに考えられているわけでございます。  なお、そのように努力を重ねてまいりたいと思っております。  その他のご質問につきましては、東京都技監並びに関係局長から答弁をさせていただきます。    〔東京都技監佐藤一夫君登壇〕 ◯東京都技監(佐藤一夫君) 三点のご質問にお答えいたします。  最初に、京王線調布駅付近の連続立体交差事業についてですが、本事業は、地元市を初めとする関係者の長年の努力により、本年四月、新規着工準備箇所として採択されました。これを受け、現在、鉄道施設と駅前広場との調整や、地下方式を含めた構造の検討などを進めております。  今後、平成十一年度中を目途に都市計画素案を取りまとめるよう、国や鉄道事業者など関係機関との調整を進め、早期事業化に向け努力してまいります。  次に、多摩地域における道路整備についてお尋ねですが、多摩地域では、自立都市圏の形成と都市間の連携を目指す道路ネットワークの整備が大変重要であります。現在、都財政は厳しい状況にありますが、このような道路整備は、社会的にも経済的にも多大な効果があります。  したがって、今後とも、調布保谷線などの南北方向の幹線道路や多摩川中流部橋梁の整備を着実に進めてまいります。  次に、道路整備における事業中区間の早期完成についてお尋ねですが、お話のように、事業の実施に当たっては、投資効果をできるだけ早期に発揮させることが必要であります。そこで、従来から、工事に直接結びつく効果的な用地の取得、道路工事に先行する下水道などの埋設工事の迅速な実施、用地取得が完了した一連区間の速やかな工事実施など、早期完成に努めておりますが、今後なお一層努力してまいります。    〔福祉局長石川雅巳君登壇〕 ◯福祉局長(石川雅巳君) 余裕教室の活用についてのお尋ねでございますが、小中学校の余裕教室を高齢者や障害者などの在宅福祉サービスの拠点として整備することは、ご指摘のとおり、さまざまな人々が触れ合いを通じて豊かな経験と温かな心をはぐくみ、また、身近な社会資源を活用する観点からも、大変有効な方法であると考えております。このため、東京都は平成八年度から、余裕教室を活用して在宅福祉サービス施設を整備する区市町村に対します助成制度を創設したところでございます。  今後とも、ただいまお話がありましたように、転用手続が非常に簡略化されましたので、その辺についてよくよく市町村にも説明をし、この都の助成制度を活用して社会福祉施設などを身近な地域に設置できますよう、積極的に区市町村に働きかけてまいります。    〔教育長中島元彦君登壇〕 ◯教育長(中島元彦君) 余裕教室の活用による教育的効果についてのお尋ねにお答えをいたします。  公立小中学校の余裕教室の活用につきましては、設置者である区市町村の施策にかかわるものでございますが、学校教育に支障のない範囲で、地域の実情に応じ、社会福祉の場など、地域に開かれた学校として幅広く活用することは有意義であると存じます。また、児童生徒が高齢者や障害者と交流し、触れ合うことにより、生きる姿に感銘し、思いやりや助け合いの心をはぐくむなど、豊かな人間形成に役立ち、教育的効果も十分期待できると考えます。  こうした趣旨を踏まえ、都教育委員会は設置者に対し、余裕教室の活用について周知徹底してまいります。      ───────────── ◯議長(田中晃三君) 二十七番藤田愛子さん。    〔二十七番藤田愛子君登壇〕 ◯二十七番(藤田愛子君) あす、十二月十日は、国連が世界人権宣言を採択して五十年になります。二十一世紀を目前にして、固定的な性的役割分業として、これまでは女性が担ってきた子育て、介護を社会の仕事とする生活転換を図り、性差によらず、一人一人が人権を尊重され、自立した個人として多様な生き方が選択できる、自己決定権の確立された社会づくりを目指したいと考えています。  男女が平等に参画するまち東京を実現するために、男女平等推進基本条例を国に先駆けて早期に制定することが望まれていますが、策定の目途を、まず知事に伺います。  女性に対する暴力の一つとして、職場や大学におけるセクシュアルハラスメントも社会問題化しています。こうした被害を受けても、社会的、また、男女の認識の違いや、その後にこうむる不利益、訴訟費用の問題などで訴訟に持ち込むには困難が伴います。この問題解決のためには、電話相談等での実態把握と相談体制を充実すること、そして男女オンブズパーソンを設置することが不可欠と考えますが、まずは、男女平等推進のための社会環境づくりの事業として、弁護士費用を立てかえるなど、男女差別に関する訴訟支援制度を創設すべきです。いかがでしょうか。  次に、子ども施策についてです。  子どもの権利条約を批准して以降、場を与え、意見表明を積極的に促す試みが地域で始まっています。しかし、一方では、核家族化、少子化が進み、地域と学校のつながりが希薄になっており、中教審答申でも明記されたように、学校と地域が一体となって開かれた学校づくりを行う取り組みが、今後ますます重要となってきます。都教委も来年度から学校運営連絡協議会を設けることを計画しているとのことですが、委員の構成と活動内容並びに活動の学校運営への反映の仕方をお示しください。  現段階では、学校運営連絡協議会への児童生徒の参加は想定されていないとのことですが、一日の大半を過ごす学校のあり方、運営方法を子ども自身にも公開することによって、子どもの参加権、意見表明権を担保することができますし、子どもの自立を支援する、より豊かな教育を提供することができるのではないでしょうか。子どもの協議会への参加の仕組みをつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。  都立高校は、公立の小中学校と比較して、家庭や地域との結びつきが強いとはいえない現状があります。この学校運営連絡協議会が有効に機能するためには、学校における教育活動が地域に開かれたものとなっていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。  最後に、水環境についてお伺いします。  都市化によって失われた東京における地域内水循環の回復のため、生活者ネットワークが長年提案し続けてきた総合的な水循環の視点が、今回の水循環マスタープランとして検討されていることについて、私は評価するものです。  そこで、伺います。中小河川の水量や地下水を取り戻していくためには、崖線や河川沿いの地域における横断的な施策として、地下水、湧水の保全、樹林地、緑地の保全をあわせて取り組み、河川流域の水循環を再生していくことが重要であると考えますが、いかがでしょうか。  六月議会でも述べましたように、都内各所で温泉を掘削するという動きがあります。ことし七月、温泉をくみ上げる量等は規制されましたが、事業者の中には、法・条例規制対象外の井戸を用いて、温泉以外に都の指導指針による基準を超えて地下水をくみ上げようとするものもあります。地下水を都民共有の水として位置づけ、事業者が地下水をくみ上げる際には、揚水量に見合った一定の涵養策を実施させるなど、適正に管理していく必要があり、そのための施策を行うべきと考えます。  また、現行法・条例規制対象外井戸についての指導指針を条例化して規制すべきと考えますが、いかがでしょうか。  水循環の視点から見ると、下水道の果たす役割は大きなかなめとなります。マスタープラン「中間のまとめ」では、水環境の保全や水の再生利用のため、窒素、燐などの物質を効率的に除去し、下水の高度処理を現在の八%から六〇%までに拡大するとしています。しかし、高度処理の導入は多額の費用と時間を要します。適切な投資で高度処理を進めるには、既存施設を有効活用するなどの手法の検討が必要と考えますが、いかがでしょうか。  以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)    〔知事青島幸男君登壇〕 ◯知事(青島幸男君) 藤田愛子議員のご質問にお答え申し上げます。  まず、東京都男女平等推進基本条例の制定についてご言及がございました。  男性も女性もその能力を十分に発揮し、ともに責任を担い合う男女平等社会を実現してまいりますことは、極めて重要な課題であると私も認識をいたしております。都民、事業者、行政が一体となった総合的、体系的な取り組みがどうしても必要でございまして、これを築き上げていくことが当面の問題であろうと思っております。  このため、都は条例を制定することといたし、本年七月に東京都女性問題協議会に対しまして、条例の基本的な考え方につきまして検討を依頼したところでございます。  今後、協議会での検討とあわせまして、広く都民の皆様方のご意見も反映しまして、平成十一年度には条例を制定していくようにしてまいりたいと、かように考えている次第でございます。  なお、他の質問につきましては関係局長から答弁させていただきます。    〔生活文化局長茅野祐子君登壇〕 ◯生活文化局長(茅野祐子君) 男女平等推進のための訴訟支援制度の創設についてのお尋ねですが、ご指摘のとおり、近年、夫やパートナーからの暴力やセクシュアルハラスメントなど、女性に対する身体的、精神的な暴力が大きな社会問題となっております。このような問題の解決を図るためには、広く普及啓発に努めるとともに、電話相談などにより被害実態を十分に把握し、当事者に対する適切な援助を行うことが求められています。  今後、都は、関係機関との連携を強化し、相談体制の充実を図るとともに、訴訟支援制度について具体的な検討を進めてまいります。    〔教育長中島元彦君登壇〕 ◯教育長(中島元彦君) 三点のご質問にお答えいたします。  まず、学校運営連絡協議会の委員の構成や活動内容等についてのお尋ねでございますが、都教育委員会は、平成十一年度から、都立学校で学校運営連絡協議会の設置を試行する予定でございます。  委員の構成につきましては、保護者、地域の有識者、地域の関係機関の代表者及び学校関係者などを考えております。  また、活動内容としては、学校運営や教育活動について、意見を交換したり、評価を行ったりすることなどでございます。これらの活動を通じまして、学校は学校運営等の改善、充実に努めていくこととなります。  次に、学校運営連絡協議会に児童生徒が参加する仕組みをつくることについてのお尋ねでございますが、児童生徒は学校で教育を受ける当事者であり、学校はその意見や要望を真摯に受けとめていくことが大切でございます。  都教育委員会は、試行を予定している学校運営連絡協議会の場においても、児童生徒の意見などを聞く機会を設けるよう指導してまいります。  次に、学校の教育活動が地域に開かれたものとなることが必要であるとのお尋ねでございますが、各都立高校が地域社会との連携を深め、開かれた教育活動を積極的に推進するためには、学校運営連絡協議会が有効に機能することが必要でございます。  今後は、学校運営連絡協議会の試行とあわせて、各学校が、地域における人材の活用や企業の実習体験の単位認定など、地域社会での体験的な学習活動の推進に努めるよう図ってまいります。    〔都市計画局長成戸寿彦君登壇〕 ◯都市計画局長(成戸寿彦君) 河川流域の水循環の再生についてのお尋ねにお答えいたします。  東京における望ましい水循環を形成し、循環型社会づくりを進めていく上で、水量が減少している河川の流域において、雨水の浸透や保水機能を保全、再生していくことは、重要な課題の一つであると認識いたしております。  都といたしましては、こうした観点から、過日、水循環マスタープランの中間の取りまとめを行ったところでございまして、今後とも樹林地の保全、河川沿いの公園緑地の整備や雨水浸透施設の促進を図るなど、河川流量や地下水の回復に配慮したまちづくりを進め、水循環の再生に取り組んでまいります。    〔環境保全局長柿沼伸二君登壇〕 ◯環境保全局長(柿沼伸二君) 地下水の適正な管理と規制対象外の井戸に対する指導指針の条例化についてのお尋ねにお答え申し上げます。  地下水は、地盤環境を構成いたします重要な要素でありまして、身近で貴重な水資源であると認識をいたしております。今後、地下水の涵養を一層推進することで健全な水循環を再生いたしまして、地盤沈下の防止を図りながら地下水を適正に利用し管理するため、地下水管理ガイドラインの策定を検討していきたいと、このように考えております。  また、お話の法及び条例により揚水規制が及ばない井戸につきましては、現行の指導指針で定める井戸の構造や揚水量など、さらにその実態を把握いたしまして、条例化に向けた検討を進めていきたいと、このように思います。    〔下水道局長鈴木章君登壇〕 ◯下水道局長(鈴木章君) 下水の高度処理についてのお尋ねでございますが、多摩川や東京湾など公共用水域の抜本的な水質改善のためには、窒素、燐を除去するなどの高度処理が不可欠であります。そのため、より効率的な高度処理技術の開発に努めるとともに、既存の施設を十分活用しながら、施設の増設や再構築などにあわせて、順次、高度処理施設の整備を進めてまいります。 ◯議長(田中晃三君) 以上をもって質問は終わりました。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) これより日程に入ります。  日程第一から第四十五まで、第二百三十三号議案、東京都立科学技術大学条例の一部を改正する条例外議案四十四件を一括議題といたします。  本案に関し、提案理由の説明を求めます。  副知事植野正明君。    〔副知事植野正明君登壇〕 ◯副知事(植野正明君) ただいま上程になりました第二百三十三号議案外四十四議案につきましてご説明申し上げます。  初めに、条例案ですが、第二百三十三号議案から第二百六十六号議案までの三十四議案は、すべて一部を改正する条例案でございます。  まず、使用料、手数料の改定でございますが、第二百三十三号議案の東京都立科学技術大学条例の一部を改正する条例など十六議案につきましては、都民生活や都財政を取り巻くさまざまな状況を総合的に勘案いたしまして、受益者負担の適正化の観点から、料額の改定をお願いするものでございます。
     次に、法令の改正に伴い規定を整備するものが十七議案ございます。  第二百四十一号議案の東京都環境影響評価条例の一部を改正する条例は、国の環境影響評価法の施行に伴いまして、環境影響評価手続等の規定を整備するものでございます。  次に、公害防止に関するものでございますが、第二百四十二号議案の東京都公害防止条例の一部を改正する条例は、東京湾の富栄養化対策として、工場及び指定作業所を対象に、窒素含有量及び燐含有量の排水基準を新たに設けるものでございます。  次に、第二百六十七号議案から第二百七十二号議案までが契約案でございます。  都営住宅建設工事など合計六件、契約金額は総額で約百三十億円となっております。  次に、第二百七十三号議案から第二百七十七号議案までが事件案でございます。  宝くじの発売について、平成十一年度の発売限度額を千八百九十八億円と定めるもの、土地の買入れなど合計五件でございます。  以上で説明を終わります。よろしくご審議をお願い申し上げます。 ◯議長(田中晃三君) 以上をもって提案理由の説明は終わりました。  お諮りいたします。  ただいま議題となっております日程第一から第四十五までは、お手元に配布の議案付託事項表のとおり、各部門に分かち、それぞれ所管の常任委員会に付託いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(田中晃三君) ご異議なしと認めます。よって、日程第一から第四十五までは、議案付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託することに決定いたしました。 (別冊参照)      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) 日程第四十六を議題といたします。    〔細渕議事部長朗読〕 一、平成九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について      ───────────── 一〇財主議第三一〇号 平成十年十一月二十四日            東京都知事 青島 幸男  東京都議会議長 田中 晃三殿    平成九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について  このことについて、地方自治法第二百三十三条の規定により、左記のとおり送付しますので、東京都議会の認定をよろしくお願いします。        記 一 平成九年度東京都各会計歳入歳出決算書 二 平成九年度東京都各会計歳入歳出決算事項別明細書 三 平成九年度実質収支に関する調書 四 平成九年度財産に関する調書 五 平成九年度決算審査意見書 六 平成九年度主要施策の成果 七 平成九年度東京都決算参考書 (決算書等省略)      ───────────── ◯六十七番(倉林辰雄君) 本件は、三十人の委員をもって構成する平成九年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託されることを望みます。 ◯議長(田中晃三君) お諮りいたします。  ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(田中晃三君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、三十人の委員をもって構成する平成九年度各会計決算特別委員会を設置し、これに付託することに決定いたしました。  委員は、委員会条例第五条第一項の規定により、議長から、お手元に配布の名簿のとおり指名いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(田中晃三君) ご異議なしと認めます。よって、委員は、お手元に配布の名簿のとおり選任することに決定いたしました。      ─────────────    平成九年度各会計決算特別委員名簿  松原 忠義君(自 民)  三宅 茂樹君(自 民)  吉住  弘君(自) 民)  大西由紀子君(生 ネ)  藤田十四三君(社 民)  くぼた 光君(共 産)  藤井  一君(公 明)  高島なおき君(自 民)  近藤やよい君(自) 民)  沢西きよお君(無 ク)  かち佳代子君(共 産)  鈴木貫太郎君(公 明)  今井 悦豊君(公 明)  小礒  明君(自 民)  小林 正則君(民 主)  藤岡 智明君(共 産)  前沢 延浩君(共 産)  石川 芳昭君(公 明)  五十嵐 正君(公 明)  星野 篤功君(自 民)  古賀 俊昭君(自 民)  吉野 利明君(自 民)  坂口こうじ君(民 主)  松本 文明君(自 民)  大山  均君(自) 民)  嶋田  実君(民 主)  野村 友子君(共 産)  村松みえ子君(共 産)  曽雌 久義君(公 明)  奥山 則男君(自) 民)      ───────────── ◯議長(田中晃三君) なお、本日の本会議終了後、役員互選のため、委員会を本議場に招集いたしますので、ご了承願います。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) 請願及び陳情の付託について申し上げます。  受理いたしました請願十六件及び陳情三十一件は、お手元に配布の請願陳情付託事項表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。 (別冊参照)      ━━━━━━━━━━ ◯議長(田中晃三君) お諮りいたします。  明十日から十五日まで六日間、委員会審査のため休会いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(田中晃三君) ご異議なしと認めます。よって、明十日から十五日まで六日間、委員会審査のため休会することに決定いたしました。  なお、次回の会議は、十二月十六日午後一時に開きます。  以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時五十四分散会...